MAZE★爆熱時空
天変脅威の大巨人(ジャイアント)

1998/03/26 東映第1試写室
テレビシリーズをグレードアップさせた映画版だとか……。
僕にはついていけない世界だなぁ。by K. Hattori



 テレビシリーズの映画化作品なのだそうで、僕には最初の設定から何からすぐには飲み込めず、十分に楽しんだとは言えない映画でした。でも、テレビで馴染んでいる人には、これでもいいのかもしれません。この映画が上映時間42分。同時上映の『ようこそロードス島へ!』が35分ですから、できることなんてたかが知れてるんですけどね……。どうせ映画でやるのなら、もう少し上映時間を長くして、見せ場(何が見せ場なんだかよくわからないけど)をタップリ盛り込んでほしかった。

 かつて国を滅ぼしかけほどの力を秘めた伝説の「いにしえの巨人」が、デルデル神殿に隠されているとの知らせを受け、調査に向かう主人公御一行。神殿には美人3姉妹が待ち受けていたが、巨人については何も知らないと言う。やがて敵の一軍が神殿に攻撃を仕掛けてくるが、3姉妹はどんなに危険が迫っても、絶対に戦ってはいけないと言う。それには理由があった……、とまぁ、映画紹介風に書くとこうなる。物語のバックボーンがまったくわからないので、映画だけ見てもちと辛いです。何しろ試写室の入口で手渡されたのは、チラシが1枚きりだもんね。むしろ原作掲載誌の「少年エース」でも見た方が、くわしい情報が載ってたりして……。

 筋立てについては、よくわからないのでコメントしようがないが、内容的には、あまり新規のアイデアがないような気もした。「建物だと思っていたら、じつは巨大ロボットでした」というアイデアは、『伝説巨神イデオン』じゃん。それに、中で主張されているテーマには異議がある。敵の手に美女姉妹のうちふたりが捕らわれて殺されそうになったとき、ふたりを見殺しにしてでも争いを避けようとした姉は、その理由として「争いを起こすと、世界が滅ぶからだ」と言います。争いで生じるエネルギーが、伝説の巨人を呼び覚ましてしまい、そうなったら誰にも止められないというわけです。ところが主人公は、この姉に向かって「目の前のふたりを守れなくて、どうして世界が守れるんだ!」と言い放って、戦いの場に出て行く。もちろん、主人公の行動が世界の破滅など招くはずがなく、すべては結果オーライで終わる。

 しかし「ふたりを守れなくて、世界が守れるか」という主張そのものは、すごく危険なものだと思うぞ。「全世界を犠牲にしてでも、いま目の前で苦しんでいるふたりを助けたい」という気持ちはわかる。でもそれを「ふたりを守れなくて、世界が守れるか」という、一見すごくカッコいい台詞に置き換えてしまうのは無茶苦茶すぎる。こういう乱暴な人たちが、全世界の命運を勝手に決めてしまっていいものなんでしょうか。

 映画の中には女性キャラのヌードなど、あの手この手のサービスシーンがあるのですが、僕はこの手のキャラにドキドキするお年頃でもないので、あまり面白いとは思わなかった。それより笑ったのは、『犬神家の一族』のパロディでしょうね。『犬神家』もこの映画も角川映画。う〜む、やってくれるじゃないの……。


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