メジャーリーグ3

1998/05/14 東宝東和試写室
人気シリーズ第3弾はマイナーリーグが舞台の新機軸。
定番のストーリーは安心して楽しめる。by K. Hattori


 トム・ベレンジャー、チャーリー・シーン主演の『メジャーリーグ』シリーズの続編だが、内容的にはケビン・コスナー主演作『さよならゲーム』の後日談みたいな映画になっている。前作まではクリーブランド・インディアンズが主役だったが、今回の映画ではミネソタ・ツインズと傘下の3Aチーム、ブンブンズに主役が交代し、そういう意味でも、前作からの流れは一度断ち切られたと見るべきでしょう。出演者もガラリとかわり、前シリーズからの出演者は、元三塁手ロジャー・ドーン役のコービン・バーンセンと、実況アナウンサー、ハリー・ドイル役のボブ・ウェッカー、ブードゥー教信者の選手を演じたデニス・ヘイスバート、ノーコン捕手のエリック・ブラスコッター、騒々しい石橋貴明ぐらい。これらの「懐かしの顔ぶれ」も、あくまでもゲスト出演的な扱いで、本筋にはあまり関係がないと言えばない。

 今回の主人公は、長年マイナーでプレイしていたベテラン投手、ガス・カントレル。彼は現役を引退し、マイナーチームであるブンブンズの監督になる。(このあたりが『さよならゲーム』の後日談たるゆえんです。)野球への情熱では誰にも負けないブンブンズの選手たちですが、チームとしてのまとまりに欠け、連戦連敗のへっぽこチームになっている。彼がどうやってこのチームをまとめあげ、最強チームに育てて行くかがドラマの中心。それを盛り上げるのが、メジャーの地位をカサに、何かと嫌がらせをしてくるミネソタ・ツインズ監督のレオナード・ハフの鼻を、どうやってへし折るかという対立図式。型どおりの展開ですが、こういうスポーツ物は、型どおりの展開が一番面白い。

 主人公ガス役のスコット・バクラ、敵役レオナードを演じたテッド・マッギンリー、主人公の恋人役ジャンセン・タジェットなど、中心メンバーはすべてテレビ出身俳優。いっそ素直にケビン・コスナー主演の『さよならゲーム2』を作った方がいいかもしれませんが、そうするとコスナーのギャラだけで、この映画の全製作費が出ていってしまうもんなぁ……。『メジャーリーグ』シリーズに比べると、役者の顔ぶれという面ではかなり小粒な印象は否めませんが、この映画は決して悪い映画ではない。少なくとも、気が抜けてぬるくなったビールのような『メジャーリーグ2』に比べれば、はるかに映画として面白いものに仕上がっている。それは保証します。

 アメリカの野球映画を観ると、あの国にとっては「野球=国技」なんだということが本当によくわかる。マイナーリーグの試合の様子を見ると、まるで草野球の延長なんだけど、その向こう側にはちゃんと華やかな大リーグが存在しているのです。極端なことを言えば、道端のキャッチボールから大リーグまで、すべてが連続した世界になっている。プロとアマチュアとの断絶がないのです。だからこそ、アメリカ人は野球を身近に感じもするし、スター選手を尊敬もするのでしょう。野球映画こそ、本当のアメリカを感じさせる映画かもしれません。

(原題:MAJOR LEAGUE: BACK TO THE MINORS)


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