リーサル・ウェポン4

1998/07/16 丸の内ピカデリー1(試写会)
人気シリーズ第4弾。これはビデオではなく、ぜひ劇場で観てほしい。
2時間8分があっと言う間の痛快娯楽作です。by K. Hattori


 メル・ギブソンとダニー・グローバー扮する刑事コンビが大活躍する、人気シリーズの4作目。製作がジョエル・シルバー、監督はリチャード・ドナー。1作目から順番に観てきたファンとしては、すげ〜楽しめる映画になってます。息のぴったりあった芝居とアクションの連続で、一瞬たりとも緊張感が途切れないのはすごい。これはリチャード・ドナーの手腕でしょう。アクションシーンはともかくとして、ごく普通の日常描写にドナー監督の非凡さを感じてほしい。アクションシーンに関しては、腕のいいアクション・コーディネーターと撮影監督と編集マンさえいれば、どんなヘボ監督でも「ある程度のレベル」には仕上がるものです。

 でもこの映画の面白さって、アクションだけじゃないもんね。ギブソン扮するリッグス刑事と、グローバー扮するマータフ刑事の掛け合い台詞の面白さ。そこにジョー・ペシ扮するレオ・ゲッツが加わると、面白さが2倍にも3倍にも膨れ上がる。さらに今回は、マータフの娘の恋人であるバターズ刑事まで加わって、猛烈な勢いで台詞をまくしたてる。このスピード感、このリズムとテンポ。人物がただ突っ立って喋ってるだけなのに、なんでこんなに面白いんでしょうか。台詞が単調にならないように、要所に小さなクスグリを入れることも怠らない抜け目のなさには脱帽。アクション映画というと、下手するとアクションとアクションの間を段取り芝居で繋いだだけになって白けるし、優れたアクション映画でも、1ヶ所や2ヶ所は、どうしたってその手の段取り芝居が混じってしまうものです。でも『リーサル・ウェポン4』には、そうした段取り芝居がまったくない。脚本上でたとえ段取り芝居になっていても、台詞の呼吸やカット割りなどを工夫し、段取り芝居には見せないのです。

 映画のフォーマットは「アクション映画」でありながら、映画から漂ってくる匂いは「ホームドラマ」という不思議な作品です。この映画でリッグスはパパになり、マータフはおじいちゃんになり、最後は警部やレオ・ゲッツも混ざって全員で記念撮影。「僕たち、全員ファミリーなんです」という台詞が、これほどしっくりくるラストシーンもないぞ。(ラストシーンを書いちゃうのはネタバレかな。ま、いいや。)

 今回はチャイニーズマフィアがからんだ事件を捜査する物語で、悪役として香港からジェット・リーが招かれています。リー・リンチェイと言った方が、映画ファンには馴染み深いかな。当然、肉体をフルに使った格闘シーンがクライマックスに用意されていて、中国の武道チャンピオンとリッグス&マータフが、組んずほぐれつの死闘を演じる。ジェット・リーのファンとしては、ここで細かくカットを割ったことで、彼のアクションのダイナミズムが死んでしまったようにも感じるでしょうが、ここでカットを割らないと、どう考えたってリッグスたちが勝つようには見えないもんね。このあたりの構成は、やっぱり作り手の上手さだと思いました。

(原題:LETHAL WEAPON 4)


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