劇場版
ポケットモンスター
幻のポケモン ルギア爆誕

1999/07/08 東宝第1試写室
人気アニメの劇場用第2弾。幻のポケモンが世界を救う?
まずまず楽しめる内容になってます。by K. Hattori


 昨年夏に公開された第1弾が、配収41.5億という化け物ヒットになった『劇場版ポケットモンスター』の第2弾。ちなみに前作は今年の11月からアメリカで劇場公開され、ワーナー配給で1500〜2000館規模の興行になると言うからすごい。今回の映画は当初『幻のポケモンX爆誕』というタイトルで発表されていたが、この新ポケモンの名前は結局“ルギア”になった。ゲスト声優は鹿賀丈史と濱田雅功。エンディングテーマ曲を小室哲也が作曲し、安室奈美恵が歌っている。併映の短編は『ピカチュウたんけんたい』。

 世界中の珍しいポケモンを収集しているコレクターのジラルダンは、オレンジ諸島の島に住む「ファイヤー」「サンダー」「フリーザー」を捕らえ、その後現れるという幻のポケモン・ルギアを捕獲しようとしていた。だがじつは、オレンジ諸島のポケモンたちこそ惑星の生命の源。3匹のポケモンを捕らえようとしたことで惑星の深層海流は乱れ、世界中で異常気象が起きてしまう。ポケモンたちの怒りを鎮めるには、良き操りびと、つまり人間の手で3つの島にあるお宝を集めなくてはならない。深海から現れたルギアは、暴れ回るポケモンを食い止めようとする、惑星の守護神とも言うべき存在。ルギアの助けを借りて、サトシは無事にお宝を集められるのか?

 ジラルダンの空中要塞はCGで描かれていますが、これは『天空の城ラピュタ』など宮崎アニメからの影響が大きい。というより、ここまで似てるとパクリだな。島に伝わる言い伝えの通りに主人公が世界を救うという筋立てや、世界中のポケモンが戦いの場に集結してくるという展開は『風の谷のナウシカ』じゃないか。『ピカチュウたんけんたい』には『となりのトトロ』そっくりの場面もある。ひとりの突出した才能が、周囲に影響を与えて全体をレベルアップさせていくという典型が、この作品を通しても見えます。宮崎駿は日本の宝ですぞ。

 筋立ては単純ですが、今回の話は「人間のエゴが地球を破壊する」という環境問題がテーマになっている。自分の行為が世界中の異常気象を引き起こしていることを知りつつも、自分の欲望を満足させるために島のポケモンを捕らえるジラルダン。あともう少しで事態が解決するという間際になっても、ルギアを捕まえようとする執念には狂気じみたものすら感じる。ルギアを捕らえてしまえば、惑星の生命はすべて滅んでしまうかもしれないのに、そんなことはお構いなしにコレクターとしての趣味を優先させてしまうエゴイズム。彼はそれによって世界が滅び、自分が死ぬことになっても、ニヤリと笑って死んで行けるに違いない。彼の細かなプロフィールなどはまったく明らかになっていませんが、鹿賀丈史の深みのある声が、このキャラクターに有無を言わせない存在感を与えています。声だけで魅力的な悪役になっている。

 昨年は『GODZILLA/ゴジラ』をすっかり食ってしまったポケモンだが、今年は同時期に大本命の『スター・ウォーズ/エピソード1』がある。どうなることか。


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