SCORE 2
THE BIG FIGHT

1999/07/19 松竹試写室
6人組の悪党と2人組の悪徳警官が5億円をめぐって殺し合い。
前作『SCORE』と内容のつながりはない。by K. Hattori


 4年前に作られたB級ガン・アクション・ムービー『SCORE』の続編のようなタイトルだが、映画製作の方法論やスタッフやキャストが多少重なり合っているだけで、中身はまったくの別物。前作は室賀厚監督の作品だったが、今回は『SCORE』にも主演した小沢仁志が自ら制作・脚本・監督・主演を務めている。小沢監督は『殺し屋&嘘つき娘』『くノ一忍法帖・柳生外伝』に続いてこれが3本目の監督作公開となるが、今回の映画は一昨年の東京ファンタで上映されているから、完成した順番で言えばこれが監督第2作なのかもしれない。もともとこの映画は、松竹の「シネマジャパネスク」用に作られていた作品。他のシネマジャパネスク作品同様、奥山親子解任騒動以降のドタバタで、公開のめどが立たないままずるずると今になってしまった作品だ。時間はかかったが、公開されることになってよかった。

 話はすごく単純。3人組の銀行強盗が、5億円の金を奪ってそれを遊園地に隠す。隠し場所は強盗グループのリーダーしか知らないのだが、彼は逃亡中に死んでしまった。そうこうしている内に、遊園地が改装工事されることになる。そうなれば隠した金は見つけられてしまうだろう。残ったメンバーは助っ人を雇い、改装工事前夜の遊園地に忍び込んで金を探そうとする。ところが強盗グループ内部では仲間割れが起こり、計画を知ったふたりの警官も彼らの金を横取りしようとする。こうして深夜の遊園地は、誰が敵で誰が味方かわからないまま、壮絶な死闘が繰り広げられることになる。

 今回も例によってオール・フィリピン・ロケなのだが、それを数行の台詞で強引に日本に見せてしまう荒技を披露している。ドラマはほとんどが室内と遊園地の中だけなので、こうした強引さも十分にアリだと思うのだが、昼間のシーンで通行人に日本人が皆無でも、「ここ日本ですよね?」「ああ」という会話だけで日本を演出してしまうのは痛快だ。ここに登場する遊園地は『スワロウテイル』のイェンタウンと同じ。日本の中に入ってきた出稼ぎ労働者や移民たちによって、従来からの日本人住民がよそに移ってしまったという設定なのだ。

 小沢監督は監督1作目の『殺し屋&嘘つき娘』より格段にうまくなっていると思うが、今回は話を凝りすぎて、問答無用にアクションを展開して行く勢いが死んでいるのが残念。銀行強盗のリーダーだったキャッシュが他の仲間に裏切られたという話は物語の序盤で済ませておき、中盤以降は裏切った仲間がキャッシュの亡霊に怯える話にした方がスッキリしたかもしれない。死んだキャッシュが金を取り返しに来る話、裏切った仲間に復讐する話にした方が、より不気味になったと思うし、ラストのオチも効果的だっただろう。

 深夜の遊園地に金を盗みに行くだけの話なのに、主人公たちが特殊部隊なみの重装備なのは疑問。宝探しに人数が必要なのはわかるけど、あそこまでの火器が必要なんだろうか。この点について、少し説明がほしかった。


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