'99夏 東映アニメフェア

1999/08/19 丸の内シャンゼリゼ
夏の定番番組、東映アニメの3本立てと「だんご3兄弟」。
劇場オリジナル企画がないのは残念。by K. Hattori


 試写状が来なかったので、最終日の1日前に劇場で観た。CMや予告編に引き続き、『だんご3兄弟を歌おう!!』『小さな巨人・ミクロマン/大激戦!ミクロマンVS最強戦士ゴルゴン』を観て1度休憩。その後『スーパードール・リカちゃん/リカちゃん絶体絶命!ドールナイツの奇跡』『超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズ・メタルス/コンボイ大変身!』まで4本立てで、劇場拘束時間は2時間。本編はトータルで1時間40分ほどだろうか。子供連れの親が我慢するにはこの程度の時間が丁度いいのかもしれないし、30分ほどの短編ばかりだから、上映スケジュールを気にせず都合のいい時間に劇場に入れるのもありがたい。もっとも、僕はこの日も午後は他の試写があったので、朝1番の回から狙いすまして劇場に入りましたけど……。大人がひとりだけで来ているというのは、僕だけだった。

 オマケ上映の『だんご3兄弟を歌おう!!』を別にすると、3本のアニメの内どれが目玉というわけでもなさそうだ。3本の共通点は、どれもテレビ放送版の番外編的な内容になっていることと、タカラのオモチャとのタイアップ作品だということ。リカちゃんしかり、トランスフォーマーしかり、ミクロマンしかり。リカちゃんやミクロマンは僕が子供の頃からあったから、ずいぶんと息の長い商品だなと感心しながら観ていた。

 東映のアニメフェアなのに、中身はすべてオモチャがらみの企画ばかりというのは寂しい。1時間ぐらいの映画でもいいから、芯になるオリジナル映画が観てみたかった。この手の子供向け映画特集は、将来の映画ファンを育てるという意味で大切なものだと思う。映画を観た子供たちが「映画はスゴイ!」「映画館は楽しい!」と思ってくれれば、それで十分なのです。でも今回の3本は、ただ単に画面の大きなテレビと同じ。子供にとってなじみやすく、客層や動員数が最初から読みやすいという安全な企画なのでしょうが、これでは子供に「映画なんてこんなものか」となめられてしまいそうです。

 東映に限らず、今や子供向けの映画番組は、邦画各社の貴重な定期収入源になっている。年間の映画興行の何割かを、こうしたアニメ番組で確保することが大切だというのは、商売の論理としてはわかります。こうしたアニメ番組を、毎年楽しみにしている子供たちも多いことでしょう。それだけに、僕はこうした番組で手を抜いてほしくない。同じように子供向けにアニメ映画を作っていても、東宝配給の『クレヨンしんちゃん』や『ポケットモンスター』『ドラえもん』はもっと面白いし、『アンパンマン』もあの手この手で新しいことをやろうとしている。番組の企画コンセプトが違うのはわかるけど、僕はやはり今回の東映アニメフェアには納得しかねる。

 なお3本の中で僕が一番面白いと思ったのは、『ビーストウォーズ・メタルス』だった。CGのクオリティはテレビレベルだけど、これほど喋りまくるアニメも珍しい。下らないダジャレに、つい笑ってしまうのです。


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