こちら葛飾区亀有公園前派出所
THE MOVIE

1999/12/02 東宝第1試写室
人気マンガが劇場アニメになって登場。いや〜、面白い。
笑って笑って、最後はホロリ。上手い!by K. Hattori


 少年ジャンプで連載中の人気コミックをTVアニメ化し、それを劇場映画にスケールアップしたもの。原作は僕も時々読んでいるが(コンビニで立ち読みすることが多い)、連載当初から作品の面白さがずっと一定しているのがすごい。映画版は原作でお馴染みの顔ぶれが出そろい、話の方も大幅にスケールアップ。最初から最後まで大いに笑わせ、ハラハラさせ、最後はホロリとさせる内容に仕上がっている。これは面白いぞ。

 都内各所に高性能の爆弾を仕掛け、ビルをバラバラに解体する“弁天小僧”と名乗る爆弾魔が現れる。狙われるのはいつも、悪どい事業で私腹を肥やしているシナトラ(本名:品田虎三)所有の物件ばかり。弁天小僧は街の景観を台無しにするケバケバしい建物をぶっ飛ばしたのを皮切りに、シナトラ所有のビルを次々と破壊して行く。この事件を担当することになったのが、亀有署に出向中のFBI捜査官・星野リサと、殺しても死なないダイ・ハード男の両津勘吉。はたして弁天小僧の正体は何者なのか? シナトラばかりが狙われる理由は?

 映画冒頭の防犯訓練シーンも面白かったが、その後バスが暴走して柴又帝釈天の商店街をメチャメチャに壊してしまう場面には大笑い。柴又帝釈天と言えば『男はつらいよ』ですが、この場面はまるで「いつまでも寅さんじゃねえだろ!」という両さんからのキツイ挨拶のようにも思えてしまいました。バスの暴走、爆弾騒ぎ、映画のクライマックスは地下鉄構内ですから、この映画はまるで『スピード』です。悪役の名前がシナトラとマーチンというのも可笑しいし、声を担当しているのが伊東四郎と小松政夫というのが最高。シナトラたちは極悪非道な大悪党なのに、最初からどこか憎めないキャラクターになっているのは声のおかげでしょう。

 脚本もまずまずよくできてます。謹慎中の両さんが寮の地下に穴を掘り始めるくだりが本筋からの脱線になりますが、この脱線が最後は本線と合流する伏線になるのだから、多少の傷には我慢してしまえる。隅田川河口付近でリサと両さんが「この町」「下町」と言っているのは明らかに変だし間違っているとも思うけれど、これがクライマックスへの効果的な伏線にもなっているので、目をつぶりましょう。それより僕は、大小のギャグを詰め込んでも話の本筋を見失わない、強靱なストーリーの足腰に感心する。要するに単純な話だからどれだけいじくり回しても平気だってことなのかもしれませんが、単純な話をいじくり回して台無しにしてしまう例はしばしば見受けられるものです。この映画が最後に感動的なフィナーレを迎えるのは、どんなに物語が脱線したかに見えても、本筋を決して見失わないからでしょう。

 僕がこの映画を高く評価するのは、これがご近所映画だからかもしれません。リサと両さんが勝鬨橋を眺める隅田川沿いの公園は目と鼻の先、晴海通りは銀座からの帰宅ルートでよく歩いてます。勝鬨橋の活躍は『逮捕しちゃうぞ』に次いで今年2度目。これも嬉しい!


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