THUMB WARS / 親指スター・ウォーズ
THUMBTANIC / 親指タイタニック

1999/12/22 映画美学校試写室
『スター・ウォーズ』と『タイタニック』を親指人形でリメイク?
監督はスティーブ・オーデカーク。by K. Hattori


 『ジム・キャリーのエースにおまかせ!/エース・ベンチュラ2』や『ナッシング・トゥ・ルーズ』の監督脚本で知られるスティーブ・オーデカーク監督が、大ヒット作『スター・ウォーズ』と『タイタニック』のパロディ映画を作った。しかも登場人物がすべて“親指”という異色作だ。1本30分にも満たない短編だが、これが面白いのなんのって……。特に『親指スター・ウォーズ』のおかしさったらない。アメリカではテレビ放送された作品だが、日本ではこれがレイトショーとは言え、まがりなりにも劇場公開されるのだからすごい。

 『親指スター・ウォーズ』は『スター・ウォーズ』1作目のパロディになっていて、登場人物からメカに至るまで徹底して“指”をモチーフにしている。デススターもミレニアムファルコンもXウィングも、すべて指がデザインの基本なのだ。このバカバカしさ。一方『親指タイタニック』は船のデザインまで指にすることができず、その分だけでも損をしている。しかし主役の「似ている度」に関しては、こちらの方が圧倒的。ケイト・ウィンスレットが似すぎです。なぜ親指なのに似てしまうのかは疑問ですが、このムッチリとした下ぶくれ具合がいかにもケイトなのです。『タイタニック』の後ですっかり太ってしまい、『グッバイ・モロッコ』の時には男運の悪いヤンママというより“肝っ玉母さん”になってしまったケイトだが、最近はすっかり姿を見せない。う〜ん、実際に親指体型になっていたりして……。

 この映画はコメディ映画というよりギャグ映画なので、細かな内容を書いてもこれから観る人の興味を削ぐだけだし、そもそも書いたものを読んでもさして面白くないと思う。痛感したのは、『スター・ウォーズ』がやはり名作であるという事実と、『タイタニック』がさして面白くもない映画であったという真実だ。パロディは元ネタという土台がしっかりしていないとギャグとして成立しないのだが、この映画では『親指スター・ウォーズ』がとても面白く、『親指タイタニック』はそうでもないのだ。もっともこれは、作り手の気合いの入れ方もあるかもしれない。『親指スター・ウォーズ』では、巻頭のルーカス・フィルムのロゴまでパロってました。デススターでの攻防戦では、カメラワークまでクリソツ。『スター・ウォーズ』を初めて観たときのワクワクドキドキするような気持ちが、このパロディ映画でよみがえってきた。作り手も好きなんでしょうね、『スター・ウォーズ』が。それに比べると、『親指タイタニック』はギャグがちょっとお寒い。言葉に頼ったところもあるし、全体にちょっと薄っぺらなんだよね。恋人同士が車の中でセックスするところは笑ったけど……。

 親指に人間の目と口を合成してはめ込んでいるわけで、この映画はすごく安上がりなようでいて、ものすごく手間が掛かっており、当然お金も掛かっているはずです。この映画を作った人は確かに偉い。しかしこの企画にゴーサインを出し、お金を出した人はもっと偉いぞ!

(原題:THUMB WARS / THUMBTANIC)


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