映画瓦版について

(2005年6月30日改訂)

■映画瓦版の沿革

ホームページの作者である僕(服部 弘一郎)は、東京在住の平凡な映画ファンでした。デザイナーやコピーライターとして会社勤務をしながら、アフターファイブや休日に映画館に通い続けること数年。やがてその感想をノートに記録したり、パソコン通信(当時はNifty-serve)で意見交換したりしていました。これらの映画鑑賞記録をMacintoshのHyperCardというソフトでデータベースにしようとしたこともありますが、あまり上手くいきませんでした。

やがてインターネットとWEBの時代がやってきます。1995年頃に転職して勤務した会社では社員のホームページ作りを推奨しており、この時HTMLの解説書を片手に映画鑑賞記録をまとめた「八丁堀発・映画半可通だより」というホームページを制作しました。その後サーバの移転などに伴い、「八丁堀発〜」を発展させる形で現在の「映画瓦版」が誕生します。この頃はまだ、インターネットの中で日本語で読める映画情報そのものがきわめて少なかった時代です。ホームページを持っている配給会社も、当時はほとんどありませんでした。

'97年に務めていた会社を退職したのを機会に、映画批評家の看板を揚げてフリーライターの道へ。結果として映画瓦版は「プロの映画ライターが運営するサイト」になってしまいましたが、映画評のスタンスはそれ以前とまったく変わりありません。


■映画瓦版の三原則

1.観た映画については必ず映画評を書く
映画瓦版には'95年頃から以降、僕が映画館や試写で観た映画ほぼすべての映画評が掲載されています。('97年以降は書き落としなしだと思う。)映画を僕よりたくさん観ている人、映画について僕よりよく知っている人はたくさんいます。僕より文章が上手い人も、映画についての理解度が僕より深い人も大勢いるでしょう。しかし「観た映画についてすべて映画評を書いている人」はあまりいないと思いますし、それをインターネットですべて公開している人もいません。おそらくこれが、映画瓦版のユニークなところだと思います。

2.映画の印象は正直にありのままを書く
面白いと思った映画については「面白い」と書き、つまらないと思った映画については「つまらない」と書くのが映画評の基本だと僕は考えています。映画瓦版はよく「辛口の映画評」というコメント付きで雑誌媒体などに紹介されることが多いのですが、作っている本人は映画の辛口評を書こうと思っているわけではありません。ただ正直にありのままを書いているだけです。

3.映画について知ったかぶりをしない
僕の映画知識は非常に貧しいものですが、それについて知ったかぶりをするのはよそうと考えています。観ていない映画については観ていないと正直に書く。読んでいない本については読んでいないと書く。ついでに映画を観ている途中で退席したり眠ってしまったときも、なるべく正直に書いておく。そうすることで「自分の記録」としての精度が増しますし、読者もそうした僕の弱点について割り引いて記事を読んでくれると思っています。


■映画評について

映画瓦版では、「映画評」をきわめて広く曖昧に定義しています。映画批評、映画評論、映画の得点評価、映画の感想文などは、映画瓦版においてはすべて「映画評」の範疇に入ります。映画瓦版は僕の個人的な映画鑑賞記録であり、映画についての備忘録という性格が強いため、映画作品についての資料として用いるにはきわめてバランスの悪いものかもしれません。映画瓦版の記述はあくまでも僕の主観によるものであって、何ら普遍性や一般性を持ちません。

資料関係は他のサイトでも容易に入手できます。映画に対する平均的な評価も、他のサイトを参考にすれば簡単に知ることができます。映画瓦版は映画を観たときに「僕」というひとりの観客が、そこに何を感じ、何を考えたのかという心の中の反応を記録してある、きわめてパーソナルな定点観測データ集なのです。

当たり前のことですが、僕がある映画を「傑作」と評価したとしても、それが万人にとっての傑作とは限りません。逆に僕が「駄作」の烙印を押したとしても、それによって映画が本来持っている価値が失われるものではありません。映画瓦版の評価は、あくまでも僕個人の評価です。それを映画鑑賞の参考にするのはいっこうに構いませんが、「映画瓦版では評価が高かったのにつまらなかった」とか「大好きな映画がけなされている」などと僕に個人的な苦情を持ち込まれても困ります。

僕も映画を観て何日かしてから「ああなるほど」と映画の隠れた意味に気づいたり、映画を再見して評価が一変してしまうことはよくありますが、だからといって映画瓦版に一度書いた映画評を書き直すことはまずありません。他人からあれこれ注文を付けられても、映画を観たとき映画瓦版に書かれているような印象を受けたという事実は変らないからです。


■メールマガジンについて

ホームページを開設した当初は劇場で月に15〜20本程度の映画を観る程度でしたから、トップページに最新の映画評20本を提示しておけばそれで上映中の映画の記事にすぐたどり着けました。ところがライターの仕事を始めて試写室通いを始めると、トップページにタイトルが並ぶのは未公開の作品ばかりということになります。そこで公開作のタイトルのみを一覧にしたメールマガジンを発行し始めました。

第1号の発行は1999年4月。その後いろいろと情報を増やして現在に至っています。毎週月曜〜火曜に編集作業を済ませ、水曜日の早朝に配信を行っています。



■本文記事の訂正について

映画瓦版の記事は完全ではありません。あちこちに記述のミスや事実誤認などがあります。それらは見つけ次第、なるべく早めに訂正していくつもりです。映画瓦版に記述のミスを見つけた読者の方から、メール(eigakawaraban@gmail.com)でご指摘を頂けるとうれしいです。