FAQ:仕事編

Q
映画評論家と映画批評家の違いは?
肩書きが「映画批評家」になっていますが、これは「映画評論家」とどう違うんですか?
A
評論家を名乗るのは、ちょっとおこがましいような気がする。
あくまでも僕の個人的な定義ですが、映画評論家の仕事は映画作品を映画史の中に位置づけていくことだと思っています。そのためには、映画についての膨大な知識が必要だし、過去の作品もたくさん観ておかなければならない。でも僕はそうした知識がほとんどない。目の前にある作品を判断する基準は、自分のその時の気分でしかありません。それはとても「評論」と呼べるものではないでしょう。でも自分の選択眼にはある程度の自信や自負があるので、自分では「映画批評家」と名乗っています。

Q
なぜプロの映画批評家になろうと思ったか?
普通の映画ファンからどうしてプロの映画ライターになろうと思ったんですか?
A
会社をクビになったから。
勤めていた会社をクビになり、次の職場とライターの仕事を同時に探しはじめた結果、たまたまライターの仕事が先に見つかったからです。失業給付金が切れる頃には、何とか食えるようになってました。ラッキーです。

Q
映画ライターになるための勉強方は?
映画ライターになりたい場合、どんな勉強をすればいいんでしょうか? どんな学校に行って、どんな勉強をすると有利でしょうか? 就職先としてはどんなものが考えられますか?
A
まずは映画をたくさん観ること。観た映画の感想を書きためること。
僕は普通の高校を卒業した後、デザイン専門学校に行って、卒業後はデザイン会社に就職しました。映画について学校で学んだことはありません。映画ライターになるための専門的な学校など聞いたことがないし、あったとしても、そこを卒業すればプロになれるというものではないと思います。
プロの映画ライターになりたいのなら、最初にやるのは観た映画についての詳細なメモを作ること。これは映画監督を目指す人や脚本家を志す人も全員がやっていることです。中身は映画の簡単な覚え書きでいい。メモを作らないと、観た映画についてはどんどん忘れてしまいます。
映画関係の本は読んだ方がいいですが、映画評や映画論の本より技術的な解説書を読んだ方が勉強になります。また、シナリオは絶対に勉強した方がいいと思います。自分でシナリオを書く必要はありませんが、シナリオの書き方は理解しておくこと。映画だけでなく芝居も見た方がいいでしょう。映画と芝居を比較することで、映画特有の表現や映画の文法というものが深く理解できます。

Q
プロになるための売り込み方法は?
プロの映画ライターになるために、最初の売り込みをどうやったんですか?
A
ホームページのURLを書いて、メールを編集部に送った。
映画評のホームページ「映画瓦版」は既に作っていたので、その紹介文とURL、映画ライターとしての仕事を探していること、映画がらみで連載の企画があることなどを書いて、出版社や雑誌のホームページにメールしました。反応が返ってきたのは、当時創刊準備中だった週刊アスキーだけですが、これは運が良かった方です。メールをホームページの担当者に送っても、編集者がそれを読むとは限りません。後から考えれば、メール作戦はあまり効率的な営業活動とは言えないと思います。僕はすごく運が良かった……。

Q
映画ライターに必要な才能とは?
映画ライターには文才が必要ですか? 感性が鋭くないとダメでしょうか?
A
明快な日本語を書く能力と、締め切りと指定された文字数を守るプロ意識が必須。
映画評は文学作品ではありません。必要なのは読者を感銘させる美文ではなく、読者に映画の魅力をきちんと伝えられる機能的な文章だと思います。明快な日本語を書くにはそれなりの訓練が必要ですが、そのためにはひたすら毎日文章を書くことです。これは多少なりとも文章を書くことがある人なら、誰にでも言えることですけどね。サラリーマンだって明快な文章が書けた方がいいですから……。
雑誌で映画評を書くとき求められるのは、締め切りと文字数の厳守です。雑誌には進行スケジュールがあるので、どんなに立派な文章が書けても締め切りが守れないと使ってもらえません。雑誌には決められたページ割りや文字数がありますから、それより多くても少なくても原稿は使い物にならない。自分の言いたいことを、指定された文字数でピッタリと言い尽くさなければなりません。これも訓練が必要です。

Q
マスコミ試写と一般試写の違いは?
マスコミ向け試写はハガキで応募する一般試写とどう違うんですか?
A
試写を観る前にプレス資料がもらえます。
マスコミ向けの試写は、映画会社内の試写室や都内数カ所にある試写室で行われています。一般試写ではチラシぐらいしかもらえませんが、マスコミ試写では最初にプレス資料というものをタダでくれます。力の入ったプレス資料は、劇場パンフに匹敵するボリュームがあります。

Q
マスコミ試写を観る方法は?
マスコミ試写を観るにはどうすればいいんでしょう? 試写のスケジュールはどうやって調べるんですか?
A
試写スケジュールは配給会社で教えてくれます。
試写のスケジュールは試写状に書いてありますし、試写状がもらえない場合は電話で試写のスケジュールを問い合わせます。このとき試写状がなくても入場できるかを確認しておかないと、試写室前で門前払いを食うケースもあります。どんな映画をどの映画会社で上映するかは、個別に調べなければなりません。また電話をすれば簡単に試写スケジュールを教えてくれるというものでもなく、執筆媒体などを聞かれることも多いです。
基本的に試写は映画会社が宣伝の一環として行っているものです。宣伝価値がないと映画会社が判断した媒体や個人は、試写室で映画を観るのを諦めた方がいいと思います。

Q
どうすればマスコミ向けの試写状をもらえるか?
映画ライターになりたいのですが、どうすれば配給会社から試写状をもらえるようになりますか?
A
記事を執筆する媒体があれば、試写状はもらえます。
電話で問い合わせたり、試写室で名刺を出しただけで、次からは定期的に案内を送ってくれるところもありますし、掲載誌をしつこくたずねられるところや、掲載誌の見本を寄越せと言うところ、何度お願いしても案内を決して送ってくれないところなど様々です。基本的には、どこか書く媒体があれば試写の案内はくれると思います。
ただしインターネットの個人ホームページは、媒体としてまず認められません。商用のページも認められないところが多いです。僕が試写状をもらえるのは、雑誌や商用のWEB媒体などで仕事をしているからだと思います。
試写状を個別に郵送してもらえなくても、媒体で仕事をしているならその編集部経由で試写状を取り寄せたり、試写の日程を問い合せたりすることができるはずです。 そうした方法を使っても試写室に入れないなら、それは映画会社がその媒体を宣伝に有効なメディアと認めていないからでしょう。


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