1999年11月の出来事

11月1日(月)
 だんだん映画祭の疲労がたまってきた。朝起きるのが辛い。身体もひどくだるい。それでも、今日も11時からプレス向けのコンペ作品試写3連発。上映の間隔がそれぞれ15分ずつしかないので、ろくに食事を取ることもできない。僕は腹がへるとイライラしてきちゃって、映画の正当な判断なんて出来なくなってしまいます……。最初に観た『ママ』は面白かった。『虹鱒』はまあまあ。『マリアの息子』は途中少しウトウトしたけど、最後はホロリときたなあ……。
 今日中に片づけなければならない仕事もあるので、今日は予定を切り上げてコンペ3作だけを観て帰宅。帰りに渋谷のHMVで『バグズ・ライフ』『マイ・フェア・レディ』『フィッシャー・キング』『バロン』のDVDを購入。『バグズ・ライフ』は試写で英語版・吹替版の両方を観て、今回またDVDを買うんだから、好きな映画なんだろうなぁ……。これはソフトの作りがすごく凝っている。1枚のディスクにシネスコサイズとテレビサイズの両方の映像が収録されていて、しかも英語版と日本語版でタイトルの文字まで変えてある。ピクサー短編映画やNG集の別バージョンも収録されて、それらもちゃんと日本語吹替版が付くというこだわりぶり。う〜ん、すごい。
 『マイ・フェア・レディ』のDVDにはオードリー・ヘプバーンの歌声と劇中のシーンを組み合わせた特典映像が収録されていますが、これじゃやっぱりオードリーの声が使われなかったのも無理はないと思わせるものに仕上がっている。オードリーは声の線が細いし、音程もテンポも不安定すぎるのです。このDVDはサウンドが5.1チャンネルになっているのにもびっくり。音にすごく広がりがあります。

11月2日(火)
 映画祭は観るのをさぼってます。観るのをコンペ作品にしぼって、その他の作品は後回し。月・火はレギュラーの仕事もあるので、朝から夜遅くまで映画を観ているわけにもいかない。平日も「疲れてきたら帰る」という方針でやってます。来年はコンペ作品をホールで観た方がいいな……。そうすればティーチインも見学できる。
 今日観たのはコンペ作『ツイン・フォールズ・アイダホ』と『スプリット・ワイド・オープン』。それにインド映画『サティア』。最後の1本でドドーンと疲れた。面白いんだけど、やっぱりインド映画は長い。無駄なシーンを切って2時間ぐらいにまとめてほしいです。面白い場面もたくさんあるんだけどね。本当はこの後、ニッポン・シネマ・マスターズの『暗殺』を観る予定だったのですが、行列を観てゲンナリしてしまった。去年の黒澤特集はガラガラだったのになぁ……。まあ、入場したら実際には空席があるのかもしれないけど、疲れてくると行列がもうイヤなんです。そんなわけで今日は帰宅。映画の感想をまとめ、メールマガジンの原稿を作り、今日も早めに眠りたい。明日も早めに切り上げてパソコンを買いに行くつもり。最近、パソコンが挙動不審です。

11月3日(文化の日/水)
 東京国際映画祭で朝一番に観た『アーベントランド』という映画がいきなりつまらない。2時間半近い拷問タイムになってしまった。次の台湾映画『ダークネス&ライト』は普段なら観られるレベルの映画なのだが、1本目で体力を使い果たしてしまったためか、ひどく苦痛に感じられた。今日は2本だけ観て早々に渋谷を去る。
 秋葉原でパソコンを買った。コンパックのPresario 3570。環境を移動したりで、なんだかんだでしばらくはバタバタするだろう。ソフトのインストールもやり直さなければならないし……。

11月4日(木)
 前の晩はパソコンの設定などで夜中の3時頃まで起きていたため、朝から眠くて眠くてしょうがない。それでも映画祭は待ってくれない。午前中に午前中から『大地と水』、午後は『ルナ・パパ』を観る。『ルナ・パパ』でようやく多少はおもしろい映画に出会った気分……。う〜ん、レベルが低すぎる。
 コンペ部門のレベルが低いのは、昨年からこの部門が「ヤングシネマ・コンペティション」と統合され、監督作3作目以内の監督に1,000万円の賞金を出すようになったからだと思う。その結果、予備審査の段階でベテラン監督の作品がスポイルされてしまうんじゃないだろうか……。本当におもしろい映画、優れた映画を選ぶためのコンペと、今後に期待できる新人を支援するコンペとは別々であるべきです。ベテランは「完成した職人芸」を見せ、新人は「未完成の魅力」を存分に発揮すべきなのであって、両者は相容れない部分も多いのです。結果として、このコンペ部門は極めてあやふやなコンセプトを持つものになっている。いっそのこと新人監督にねらいを絞って、サンダンスに匹敵する新人監督の登竜門に育てるなど、明確な方向性が必要だと思う。賞金額も中途半端。こんな賞金では、日本でだって映画は撮れない。アメリカやイギリスなどの英語圏では、本当に力のある監督になら、大きなスタジオが10億円単位で製作費を出してくれる。つまり、東京ゴールド賞は英語圏の新人監督にとっては小遣い銭程度の魅力しかないのです。コンペ部門がアジアの監督を重視するのは、そんな事情もあるのかもしれません。
 それにしても「監督作3本以内」という言葉の虚しさ。渋谷では映画祭と平行して、『マトリックス』も『シックス・センス』も上映されているぞ。前者はウォシャウスキー兄弟の2作目、後者はシャマラン監督の3作目。これらの作品を、映画祭コンペ部門の作品と比べてみろってんだ!

11月5日(金)
 マスコミ試写で和田誠の『真夜中まで』とフランソワ・オゾンの『クリミナル・ラヴァーズ』を観る。これで東京国際映画祭のコンペ作品を全部観たことになる。疲れた。非常に疲れた。16本観て、まあまあ面白かったのは『オネーギン』『破線のマリス』『アローン』『ママ』『ルナ・パパ』『クリミナル・ラヴァーズ』の6本のみ。残り10本は「なぜこんなものをコンペに?」と首を傾げるような作品ばかりだった。(コンペ作品の独自ランキングを数日以内にメールマガジンの号外として発行するつもりです。)コンペ作品ではないけれど、夕方からシネマ・プリズムに出品されている『正義の華』というタイ映画を観た。コンペに出ていたタイ映画『ナン・ナーク』より、こっちの方が何倍も面白いじゃないか! 字幕がなかったのが残念。
 夜はパンテオンの東京ファンタ閉会式だけを見学し、その後、ファンタの打ち上げパーティーに潜入。ファンタは1本も観ていないのに、パーティーで飲み食いだけしているひどいヤツだ。ニフティの社員等、顔見知りも数名いたのでご挨拶。その後、知り合いの編集者などと二次会へ。解散は3時頃だったかな……。タクシーで帰宅。

11月6日(土)
 朝は目覚ましを止めて9時過ぎに起きた。寝る前にアスピリンを飲んでいたせいか、二日酔いにもならずに快調なものだ。昼過ぎから秋葉原に出かけてOCRとファイリングのソフトを買う。スキャナに付属していたソフトのアップグレードだが、この方がスキャナ本体の値段より高いぞ。これで何をやるかというと、プレス資料の整理。試写では映画のあらすじやスタッフ・キャストの紹介をワープロ打ちした程度の資料を結構貰うことがある。資料なので保管しておかなければならないのだが、それが積もり積もるとかなりのスペースを食ってしまうのです。そこで、スキャナで電子データにしてしまおうと考えたわけ……。
 OCRは画像ファイルの見出し作りに使う。スキャンして資料を画像ファイルにしても、それだけでは内容を検索できない。そこでOCRを使って内容をざっとテキストデータにしておくのです。これは見出しなので、認識率は9割方で構わない。今までに溜まった資料にまで手を着けると作業量が膨大でうんざりしてしまうので、電子ファイルは「今後の課題」にしておきます。

11月7日(日)
 映画祭疲れか、1日ボンヤリと過ごす。考えてみれば、先々週の月曜(10/25)からぶっ続けで毎日2〜4本の映画を観てたんだよなぁ……。本当は買い物や散髪に出かけたかったのだが、頭でそう考えても体が動かない。ホームページを更新し、日経クリックの原稿を仕上げた後、映画祭関連作品をあつかったメールマガジンの号外を作る。

11月8日(月)
 午前中に徳間ホールで『御法度』。面白い。午後はソニーで『ビッグ・ダディ』。いまいち。午後の2本目は東映で『極道(やくざ)血風録』。まったくだめ。帰宅してからメールマガジンの編集と配信手続き。DDI用の原稿も作って送ってしまう。朝から試写だと疲れるんだよな……。散髪にも行きたいのに、暇がなくて行けない。なんだかぐったり。早めに寝る。

11月9日(火)
 体調が悪い。風邪気味らしい。熱はないのだが、のどが少し痛いかな……。ひどくならないことを祈るばかり。だるいので午前中は少し寝ていた。昼前に起きあがって大急ぎで昼飯をかき込み(食欲はある)、自転車をすっ飛ばして松竹の試写室まで行ったのに、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は満員で入れず。空いた時間に散髪しようと思い立ち、自転車をUターンさせて床屋に駆けつける。おかげで汗だく。床屋の兄さんに「外は暑いですか?」と言われてしまった。あれだけ走れば、真冬だって汗かくよ。
 午後は映画美学校でディートリッヒの『西班牙狂想曲』を観た後、夕方から徳間で『理想の結婚』を観る。『理想の結婚』はかなり面白い。ミニー・ドライヴァーが可愛い役をやっている! しかもそれが似合っている! 原作はオスカー・ワイルドの戯曲。いかにも戯曲を映画化しましたという作りだけど、これは楽しかった。
 夜は前から持っていたフィルムスキャナーをパソコンに接続しようとしたのだが、これが大問題を引き起こす。SCSI接続の落とし穴にズッポリとはまってしまった。スキャナーは問題なく作動するのだが、同じチェーンの中にあるバックアップ用のハードディスクがうまく作動しなくなって、バックアップ用のソフトを起動させるたびにフリーズ。挙げ句の果てに、中にあるデータが少しずつ壊れていく始末。SCSIの番号を変えたり、接続の順番を変えたりしてもうまくいかない。結局、もとの状態に戻してしまった……。何をやっているんだか。これのおかげで、夜はほとんど何もできなかった。

11月10日(水)
 午後からFOXで『ファイト・クラブ』の試写。10分ぐらい前に到着したら、既に満席で入れないと言われて途方に暮れた。15日にはこの映画でメンズ・ウォーカーの入稿があるのに……。金曜日にもう1回試写があるので、その時に再チャレンジするつもりだったが、試写開始直前になって補助席がひとつ余ってすべり込み。映画は面白かった。挑発的なシーンが多いので、ダメな人はダメでしょうけど、僕は石井輝男の『地獄』も大丈夫だったクチなので平気。続けて同じ試写室で『狂っちゃいないぜ!』を観る。航空管制官を主人公にしたドラマで、そこそこ面白くはできているけど……。でも航空管制官を主人公にしたドラマなら、『グランド・コントロール/乱気流』という大傑作がありますからね。それに比べると生ぬるくって。
 帰り道に青山ブックセンターで買い物。山本夏彦の「誰か「戦前」を知らないか/夏彦迷惑問答」他、7千円以上も本を買ってしまった。読む暇あるのかね……。

11月11日(木)
 午前中に映画紹介の原稿を2本書いてメール入稿。溜まっていた洗濯物もやっつけてしまう。天気がいい日に干さないと、シャツが乾かなくなってしまいますからね……。乾燥機があるから下着類の洗濯は天気や時間に関係ないんだけど、シャツは糊づけするから乾燥機に入らないのだ。
 午後はぴあ試写室で『心の中』という映画を観るところからスタートしたが、これがひどくつまらなくて閉口した。2本目はGAGAで『ノイズ』。これもつまらない。今日はハズレの日かと思っていたら、3本目の『フォーエバー・フィーバー』が最高に楽しい映画で、今日のトータルはプラスに転じた。

11月12日(金)
 試写の日程を間違えて午前中を棒に振る。朝から『はつ恋』だと思ったら違ったのね……。なんでこういう間違いが起こるのかよくわからないのだが、時々あるんだよなぁ。単に試写上の日程を、手帳に写し間違えているだけなんですけどね。しょうがないから午前中は本屋などでつぶす。午後はメディアボックスで『SLAM』を観る。まあまあかな。疲れてたので、ちょっとウトウトしてしまいましたけど。ポエトリー・リーディングはアメリカでかなり大きなブームになっているらしい。既に映画に何度も取り上げられている。こればっかりは、日本に輸入できないだろうなぁ……。『ICHIGENNSAN』も観る予定だったのだが、予想外に混んでいて補助イスだったので、今日は退散してしまった。疲れているときに、2時間を補助イスでは辛い。これは日を改める。

11月13日(土)
 午前中にメンズ・ウォーカーの原稿をFAX送信。午後は銀座の田崎真珠にあるホールで、堀池清監督の昭和38年作品『丘は花ざかり』を観てくる。ビデオ上映だったのが残念だけど、映画は面白い。じつは今回の上映会には、監督本人に誘われての参加。僕が映画瓦版に書いている『丘は花ざかり』の感想を監督が見て、日活の版権担当者やご家族を通してメールで連絡してきたものだ。この日は上映前に僕も挨拶をさせられてしまった。監督本人はパソコンなどを触らないため、インターネットというものがよく理解できていないようだったが……。映画の後は近くのビアホールで親睦会。映画の途中からは、出演者の川地民夫さんも駆けつけた。僕は監督の招待客ということで会費も払わずにご馳走になってしまいました。帰りがけには心付けまで頂戴して、たいへん恐縮してます。ホームページに感想を書いただけで、こんなに喜んでくれるとは……。
 感想を書いた映画の関係者(スタッフや出演者)から時々メールをもらうことがあるし、若い監督から電話をもらったこともあるけど、ここまで歓待されたのは初めての体験。残念なのは、対象になった映画が今から36年も前の作品で、今ではあまり観られていないことでしょう。僕がここでどんなに『丘は花ざかり』を推薦しても、ホームページの読者がそれを観る手段がなかったりするんだよね。名画座もなくなっているし、貴重な文化財とも言える旧作の掘り起こしはどう進めればいいんでしょう。日本映画振興策のひとつとして、旧作にも目を向けてもらいたいものです。ビジネスベースだけで考えると、こうした作品が日の目を見ることはないですからね。(衛星放送で放送しているのかな……。)

11月14日(日)
 晴れてはいるが急に寒くなった。11月だから当たり前だけど、ほんの数日前までは汗ばむほどだったから落差が大きい。この温度差にやられて、風邪を引いてしまうのだろう。僕ものどが痛いし、少し頭痛がするときもある。(アスピリンを飲んでしまうけど。)明日からの1週間はそれほど仕事や試写が立て込んでいないので、無理をせずにゆっくり過ごしていればよくなるだろう。ならなきゃ困るけど……。

11月15日(月)
 朝から小雨。昼頃より本格的に雨。午前中にメールマガジンの送信予約済ませる。午後は映画美学校で『間諜X27』。面白い。メディアボックスで『ガラスの脳』。だ〜めだコリャ。六本木に移動してGAGAで望月六郎のビデオ映画『通貨と金髪』。面白いけど安っぽすぎる。帰宅してから感想を1本だけ書いた。後は明日回しだが、明日は朝から『ゴジラ2000』なので、夕方以降にしわ寄せが出るなぁ……。こうしてどんどん時間は消えて行く。
 山本夏彦の『誰か「戦前」を知らないか』を読了。移動の途中で読み切ると、残った時間がいかにももったいない。といって、移動中に2冊の本を持って歩くのも面倒なのだが。家にあるツンドク本の中から、「エクソシストとの対話」を次の本に選ぶ。まだまだ本がある。しばらく本屋は鬼門だ。買っても読み切れない。

11月16日(火)
 午前中は東宝で『ゴジラ2000・ミレニアム』の試写。特撮はいつになくがんばっている。でも話はイマイチ。平成『ガメラ』シリーズを水割りにしたような映画だった。午後はUIPで『ラグラッツ・ムービー』。今回は日本語吹き替え版での試写。昼を抜いてしまったためか、腹が減ってしまった。映画の中で子供たちがチョコを食ったりミルクを飲んだりするたびに、「ああ」とため息。六本木に移動して簡単に食事をし(例によって吉野家)、フォックスの試写室で『バニラ・フォグ』を観た。銀座シネパトスでの公開ということもあり、まったくのノーマークだったのだが、これが面白かった! 普通の人はビデオでいいと感じる映画かもしれませんが、多少は古い映画を観ている者にとっては嬉しい映画です。

11月17日(水)
 朝の内に昨日観た映画の感想をまとめてしまう。午後は東映で山城新伍監督の『週刊バビロン』を観た。どうせチャラチャラした映画だろうと思っていたら、意外や意外、骨太の人間ドラマで驚いてしまった。キャスティングに味がある。その後に観たのは市川崑監督の『新選組』。原作は黒鉄ヒロシ。これもすごく面白い。今日は日本映画を2本観て、2本ともアタリという素晴らしい日だった。

11月18日(木)
 午前中に映画の感想をまとめてしまう。最近は前日の映画の感想を、翌日の朝に書くことが多い。その方が、作業がはかどるような気もする。午後は京橋の映画美学校で『キッドナッパー』。これは期待していたほどではなかった。その後メディアボックスで『いちげんさん』を観たが、こっちは期待以上のでき。鈴木保奈美が盲目のヒロインを好演してます。帰宅して食事をした後、どうにも眠たいので今日は早めに寝てしまう。というわけで、感想はまた翌朝に持ち越し。
 「エクソシストとの対話」を読了し、「評伝山中貞雄」を読み始める。

11月19日(金)
 昨夜は早く寝てしまったので、今日の午前中はその分の作業をする。午後は東映で『ブギーポップは笑わない』を観る。不思議な面白さがある映画だが、他人に積極的にすすめるような映画でもないかな……。その後、半蔵門に出て平野勝之監督の『白 THE WHITE』を観る。僕はこの監督の前作『流れ者図鑑』しか観ていないが、それとはまた違った面白さと迫力があると思う。
 帰宅して近所の生協で買い物。ボージョレ・ヌーヴォーを1本買って帰り、ジャガイモ入りのオムレツ(スペイン風オムレツと言うのでしょうか?)を作って食べる。これで今日の晩ご飯はおしまい。何気なくテレビを付けたら、小島で集団見合いをする番組をやっていた。これが滅法面白い。嫁不足に悩む島に、全国から花嫁候補の女性たちが大挙して押し寄せるのだ。そこで生まれるさまざまな人間ドラマ。涙あり、笑いあり。最後はハッピーエンドで締めくくる。その後、NHKで「イスラム潮流」を見たら、これもすごく面白い。こんなにテレビが面白いんじゃ、普通の人は映画なんて観る必要ないよなぁ……。

11月20日(土)
 午前中に感想文を仕上げてしまう。午後は秋葉原に出かけた。疲れた。今回はあまり書くことがないので、気になることを少し……。
 ヤラセが原因で人気番組「愛する二人別れる二人」が放送打ち切りになったという。この番組がヤラセであることは、以前からいくつかの雑誌などで指摘されてきたが、ようやくテレビ局側がそれを認めたわけだ。僕はそれを聞いて「打ち切りにする必要などないのに」と思った。この番組は「登場するカップルは本物です」ということも含めてすべてがエンターテインメントなのだ。その真偽を詮索するなど野暮なことだと思う。人間は「本当の話」に弱い。たとえウソだとわかっていても、それが「本当です」と言われれば見る側の気合いの入れ方が違う。『シリアル・ママ』や『ファーゴ』は、映画の冒頭でそれが「実話」であると述べている。でもこれを実話だと思っている人は少数だろう。それは映画を観ればわかる。我々は映画を観ながら「よくもヌケヌケと……」と思いながら楽しんでいる。「愛する二人別れる二人」も、ヤラセがばれた後も堂々と放送を続ければよかったのです。ヤラセに関しては番組中で一言もおくびに出さずにね……。映画『コリン・マッケンジー/もうひとりのグリフィス』を見習ってほしい。最初から確信犯のヤラセなのだろうから、態度を徹底してほしかった。

11月21日(日)
 夕方から雑誌の編集部で正月映画に関連した座談会があったのだが、集合時間を間違えて参加しそびれてしまった。16時集合を6時集合と勘違いしていたのだ。間抜けな話だなぁ……。

11月22日(月)
 午前中は東映で田中麗奈主演の『はつ恋』を観る。公開は来年春なので少し先の話。ちょっといい映画だけど、「ちょっと」以上ではない。午後は1時からの試写に適当な物がなかったため、銀座で食事をして、愛用のコンタックスT2を修理に出し、あとは本屋などをブラブラ。3時半から東映に戻って『GTO』を観る。今日はなんと、田中麗奈2連発である。『がんばっていきまっしょい』のファンとしては嬉しいはずなのだが、『GTO』は寝てしまいました。う〜ん、原作がマンガだからしょうがないんだけど、映画もマンガなんだよなぁ……。
 帰宅途中にスーパーにより、スパゲティを買い込んでくる。夕食は当然スパゲティ。満腹になったら眠くなってしまったので、今日は寝る。明日も休みだから、何となく気持ちに余裕があるのだ。少しのどが痛い。風邪気味なのかもしれない。やばいなぁ……。

11月23日(火・勤労感謝の日)
 風邪気味で調子が悪いので、仕事もせずに部屋の中でぼんやり過ごす。午前中はDVDで『マイ・フェア・レディ』を観た。以前劇場でも観ているはずだけど、それ以上に感動した。画質と音の良さは、原盤を徹底的にリストアしたDVDの方が優れていると思う。今はオリジナルの70ミリ・プリントを上映できる環境もないので、DVDこそがもっとも原盤に近いクオリティなのだ。音なんて原盤以上だしね……。映画の内容はご存じの通り。今回観て気づいたのは、「スペインの雨」から「踊り明かそう」までの流れが、『雨に唄えば』の「グッド・モーニング」から「雨に唄えば」の流れに似ていることかな。どちらも男ふたりに女ひとりが、真夜中に何かを達成して大騒ぎ。その後に作品中最も有名なナンバーが登場する。知っての通り映画『マイ・フェア・レディ』では、主演のオードリー・ヘプバーンの歌声がひとつも使われず、すべてマーニ・ニクソンが吹き替えている。DVDにはオードリーの歌声と入れ替えたものがオマケで2曲くっついているが、これは聴くに耐えないひどいものだ。音程も怪しいし、声量もない。オリジナル舞台ではジュリー・アンドリュースがやってた役ですから、それを知る人がオードリーの歌を聴いたら吹き出してしまうでしょう。吹き替えもやむなしですな……。

11月24日(水)
 風邪気味で昨夜は早く寝たのだが、今日になっても頭がボンヤリしている。予定では今日4本の試写があったのだが……。午前中は東映で『極道の妻たち/死んで貰います』を観た。高島礼子主演の新シリーズ第2弾だが、これがなかなか面白かった。期待していなかったせいもあるけど、新シリーズのスタートを切った前作とは雲泥の差だ。都内では単館で3週間しか上映しないという、最初からビデオ向けに作った映画です。午後は渋谷で『マイ・リトル・ガーデン』と『ワイルド・スモーカーズ』を観た。『マイ・リトル・ガーデン』は『ライフ・イズ・ビューティフル』『聖なる嘘つき/その名はジェイコブ』などに続く「ホロコーストを生き延びたユダヤ人」の物語。最近の流行なんでしょうか? 続く『ワイルド・スモーカーズ』はマリファナ栽培で一儲けをたくらむ男たちのドラマで、出演者の豪華な顔ぶれの割には映画としてのまとまりに欠けたような気がする。
 試写室で知り合いの編集者を見つけたのをよいことに、いそいそとお茶に行く。4本目の試写は後日に譲ることに。毎日強迫観念のように試写を観続けているので、何かと理由を付けて試写を観ないで済むと、正直言ってホッとする。正月映画の試写も一段落したので、12月は多少試写室巡りも楽になると思うけど……。
 新潟Week!から正月映画特集の原稿を依頼されたため、この週末は原稿書き用に急遽1日予定を空けた。一方で日経クリックはリニューアルで次回の原稿が最終回だとか。レギュラーの仕事が1本減ってしまう。「評伝山中貞雄」を読了。

11月25日(木)
 今日は試写がすべて銀座周辺なので自転車移動。午後から松竹で『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を観る。前回は満席ではねられてしまったので、今回は30分ほど前に付いて着席。これは面白かった。京橋の映画美学校に移動して『ブロンド・ヴィナス』。これは泣いた。夜は日本劇場でシュワルツェネッガーの『エンド・オブ・デイズ』。個人的にはすご〜く面白かったけど、これこそ「キリスト教の知識がない人にはわかるまい」という映画だと思う。映画が終わった後、周囲の人がみんな困った顔をしてたのが印象的。うっかり自転車を映画館の外においたまま地下鉄で帰ってきてしまった。テレビをつけたら音羽の幼女行方不明事件が解決していた。犯人は逮捕されたものの、女の子は死体で発見されたそうだ。気の毒すぎる。犯人は許せないなぁ……。
 ……と思っていたら、仕事をしている雑誌の編プロから紙面リニューアルのお知らせFAX。またしてもレギュラーの仕事がなくなる。こりゃ来年からは収入半減だよ。『エンド・オブ・デイズ』なんて縁起でもないタイトルの映画を観ちゃったな〜。こうなると音羽の幼女殺しなんて意識の外に吹き飛んでしまう。人間は常に他人の生き死により、自分の明日のオマンマの方が大切なのだ。まあ、今までも何とかなっていたから、来年からも何とかなるだろう。仕事に関しては、僕は非常に楽観的なのだ。でも、誰か仕事ください!

11月26日(金)
 新潟Week!の正月映画特集の記事を書くため、今日は試写をはずして1日中部屋の中。ついでに洗濯や掛け布団の交換など、身の回りのことを片づけてしまう。最近風邪気味だし、ちょうどいい中休みだ。外が明るい内に原稿を書くことがあまりないので、原稿がはかどっているんだかどうなんだかよくわからない。昼頃にはビデオ&DVDでーたの編集部からも電話があって、急ぎの仕事を頼まれた。こうしてスポットの仕事をコツコツこなして、減ったレギュラーの穴を埋めなければ……。ああ、生活安定のためにレギュラーの仕事がほしい。仕事には波があるモノですが、谷間に落ち込むたびに、フリーのライターが潜在的な失業者であることを痛感する。大きな買い物の支払いが来月で終わるのが、せめてもの救いかな……。パソコンを買い換えておいてよかった。あと1ヶ月遅かったら、パソコン代は生活の蓄えに回ってました。
 文京区の幼女殺しは動機がよくわからない。「お受験」程度で2歳の女の子を絞め殺せるわけがないし、死体を鞄に詰めて新幹線で運べるわけがない。精神状態がおかしいんじゃないだろうか。既に一部のテレビ局は、犯人の実名を報道しなくなっている。『ディープ・エンド・オブ・オーシャン』ではじまった事件は、『39/刑法第三十九条』の世界じみてきた。

11月27日(土)
 午前中に正月映画特集の原稿を完成してメールで入稿。午後は近所で買い物等。夜は新宿でフォーラムのオフ会。

11月28日(日)
 火曜日に締切の仕事を受けているのだが、レイアウトと文字数がいまだに送られてこない……。月曜日は1日を原稿書きのために空けたのに、これで明日は仕事になるのだろうか? すご〜く不安。火曜日からはまた試写があるんだけどな。
 TOKYO1週間とメンズ・ウォーカーの原稿を入れてしまう。今週の締切で新しい仕事も少し入った。どういうわけか今週は忙しいのだが、先行きに不安を感じているので仕事が入るのはありがたい

11月29日(月)
 レイアウトと文字数は昼前にFAXで届いた。これで今日中に原稿が上がるわけないだろ! 締切は明日だけど、明日は明日で予定があるもんね。今日は室賀厚監督の新作が見たかったけど、しょうがないから原稿書きで1日すごす。昼頃郵便受けを見に行ったら、UIPからの試写案内が来ていた。UIPから試写の案内が届くようになったのは嬉しいが、なぜ名前が「藤原弘一郎」になっているのだろうか……。今度試写室に行ったとき、直してもらわなきゃ。でないとせっかくの試写状が届かなくなってしまう。
 メールマガジンの原稿って配信予約。DDIポケットの原稿もメールで入稿。

11月30日(火)
 午前中に今日締切の原稿をすべて仕上げてFAX入稿。時間に余裕があったので、映画瓦版のトップページを少しいじってデザインを変えた。最近どれも全部同じパターンだな……。飽きたらまた変えるだろう。
 午後からは映画美学校で『愛の奇跡』。ぴあで『欲望の仮面』を観る。


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