2000年9月の出来事

9月1日(金)
 午前中に映画の感想を書いてしまい、午後はいつもの試写室巡り。午後1番にヘラルドに行ったら『宮廷料理人ヴァテール』の試写が満席とのこと。1時まであと5分。手持ちの試写状から1時開始で銀座周辺の試写を捜し、ソニーや東宝より近いということで『NINE』の試写を観ようと東映に行ったら、プリントが届いていないので試写中止とのことだった。ここで1時。別の試写室に移動することもできないので、3時半の次の試写まで本屋などで時間を潰す。こういう時でもないと本屋になど行けないので、それはそれでいいんだけど……。でも、かいた汗は無駄になった。
 3時半から京橋で『夢だと云って』の試写。2年前のフランス映画祭横浜で観ている映画。面白い。この試写が終わったのが5時過ぎ。7時から松竹で『十五才 学校IV』の試写なので、それまで食事をしたり、再び本屋に行ったりして時間を潰す。『十五才 学校IV』は山田洋次監督得意のロードムービー。主人公の中学生が、『学校』シリーズのレギュラー吉岡秀隆をそのまま中学生にしたような感じ。今回、吉岡くん本人は画面に登場せず。それともどこかにカメオ出演していたのかな? この映画は松竹大船撮影所最後の作品。次の撮影所を2,3年後をめどに新木場に作るというのだが、松竹社内には先日ようやく「準備室」ができたばかり。本当に新撮影所なんて作れるのかは疑問。撮影所の従業員向けのポーズだったりして……。山田監督はずっと松竹撮影所で仕事をしてきた人だが、次回作を撮るのに新撮影所完成まで待っているつもりもないだろう。撮影所がなくなったとき、山田監督がどんな映画を作るのかがすごく楽しみ。今回の映画がロケ主体のロードムービーだったことは、「撮影所の外でも映画は作れる」という山田監督の意思表示なのかも。
 帰宅したら部屋の留守電にヘラルドの宣伝部から伝言。「本日は『宮廷料理人ヴァテール』の試写をご覧くださりありがとうございました」だって。試写室には行ったけど、映画は観てないってば!

9月2日(土)
 朝から原稿書き。情報誌のコラム1本、情報誌の映画紹介2本、WEBの映画紹介2本。この日は最高気温が37度に達したというが、日中は冷房をかけていたのでまったく気づかなかった。時々窓を開けると外から熱風が吹き込んできたのだが、それは室内外の温度差によるものだと思ってました。
 夕方から歩いて門前仲町へ。昼間よりだいぶ温度が下がったのか、それほど暑いとは感じなかった。門仲は先日出かけたときより、だいぶ賑やかになっている。夕方になり、突然の夕立。これで一気に気温が下がり、帰りは快適だった。

9月3日(日)
 朝から雲ひとつない晴天。日差しは強いが、空気が乾燥して爽やかな天気。もう秋の気配。少し朝寝坊して、午前中は部屋で仕事の続き。ホームページに『ゴッド・アンド・モンスター』のページへのリンクを作ったりする。
 この映画については、9月1日にようやく正式公開決定の情報が外部にもオープンになりました。今まで日記に「六本木で映画上映の打ち合わせ」などと書いていたのは、すべて『ゴッド・アンド・モンスター』の話です。といっても僕は野次馬的ひやかし客で、メインで動いているのは上映促進委員会として1年以上前から配給会社に掛け合ってきた竹内さんと、@niftyの映画フォーラムで紅一点のスタッフとしてがんばる影山奈穂実さん。竹内さんはこの映画に惚れ込んで、ハリウッドまで監督のビル・コンドンに会いに行ってしまったというのだから驚き。こうしたファン側からの熱意に押されて、配給権を持つGAGAが日本での正式公開に動き出してくれたというわけです。(もともと配給権を持ちながら劇場にかける努力をせず、ビデオやDVDの発売、テレビ放送の先行を許してしまったのは問題だと思うけれど、もうそれは言うまい。)ちなみにGAGAの担当者も永田さんという若い女性。GAGA側では永田さんが社内での調整や劇場ブッキングをとりまとめるまで、正式上映のアナウンスを控えていたわけです。
 既にビデオ化されている作品で、しかも東京単館公開のレイトショー。映画作品としてはマスコミの食いつきも悪いだろうし、劇場でのヒットは普通に考えれば難しい。そんなこともあって、GAGA側は宣伝費を極端に切りつめてます。その分を日本上映促進委員会や@nifty・映画フォーラムが動き回ることでどこまで補えるかが、この映画の成否を決めると言っても過言ではない。上映委員会のページにリンク用のバナーがあるので、できるだけ多くの映画ファンにバナー広告を貼ってもらい、インターネット中心に話題を盛り上げて行ければと思っています。僕も早速、上映委員会のページへのバナーを張りました。

9月4日(月)
 午前中にメルマガの準備。午前中にはカタがつかず、発行予約は夜になる。午後は渋谷で『キューバ・フェリス』と『ブッシュ・ド・ノエル』の2本立て。前者は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』をどうしたって連想させるキューバ音楽の映画で、ひとりの老ミュージシャンを主人公にしている。ただ、この映画がいったい何を狙っているのか、僕にはちょっとわからなかった。眠くてウトウトしていたこともあるけれど。気持ちを入れ替えて(カフェインを摂取して)2本目の『ブッシュ・ド・ノエル』に挑んだが、こちらは『電話で抱きしめて』などより10倍はよくできた三姉妹もの。導入部のクリスマス風景と葬式の対比から、一気に映画に引き込まれる。本日の試写はこの2本のみ。
 映画の後、渋谷のブックファーストで映画関係の本を5冊ほど買う。合計金額12,035円也。現在読んでいる他の本もあるので、まぁぼちぼちとりかかって、今月中には片づけるつもり。

9月5日(火)
 午前中から4本の試写を見る予定だったのだが、パソ通でつまらぬ意地を張って、まる1日を無駄に過ごしてしまった。まぁこういうのも、たまにはいいけどね。コメントのラリーは、言葉とキーボードを使ったスポーツだ。う〜ん、でも頭痛がする。仕事もまったく進んでないし……。

9月6日(水)
 午前中から試写4本。午前中は東宝で『漂流街』。三池崇史監督の新作で、かなり強烈なクセのある映画になっている。2本目は東映で『長崎ぶらぶら節』。これは素晴らしい映画だった。ラストシーンでは涙が吹き出す。3本目は映画美学校で『絵里に首ったけ』。おバカなスポ根青春ドラマ。4本目はメディアボックスで韓国の猟奇殺人サスペンス『カル』。特別つまらない映画がなかったので、今日は4本観てもあまり疲れなかった。作品の傾向もそれぞれ全部違うのがよかったのかも。

9月7日(木)
 午前中に感想文のまとめ。『カル』の分が半分残ったまま、午後の試写へ。TCCで『SLC PUNK!』を観た後、渋谷で『映画作りとむらへの道』『グリーンフィッシュ』の2本立て。今日の映画はどれもあまりパッとしなかったなぁ。

9月8日(金)
 午前中に映画の感想2本半。午後は土橋のTCCで『深紅の愛/DEEP CRIMSON』と『時の支配者』の2本立て。前者は実在の事件を映画化した『ハネムーン・キラー』のリメイクで、舞台をメキシコにしている。ラストシーンは泣けた。『時の支配者』は高校生の頃、科学技術館のホールで観て以来の再会。僕はこの映画、ビデオでも持ってました。ベータだったので、デッキがなくなった時点で処分してしまったけど。英語版とフランス語版の両方を観ているんだけど、ホールで観たのがフランス語なのか、それとも英語版だったのか、あるいはビデオが英語版だったのか、さっぱり思い出せない。今回観たのはフランス語版。この映画と同じぐらい衝撃的だった映画と言えば、あとはジム・ヘンソンとフランク・オズの『ダーク・クリスタル』ぐらいかな。これもどこかでリバイバル公開してくれないかなぁ。隠れた名作です。一方今では知らぬ人のいない『ブレードランナー』も僕は封切りで観たけど、特に強い印象は残らなかったっけ。
 今日の3本目の試写は京橋のメディアボックスで、モフセン・マフマルバフの新作『サイレンス』。リアリズムとシンボリックな絵作りとが融合した、なかなか面白い映画だった。傑作と言ってもいい。女の子たちがかわいいしね。ただしかなり眠い思いをした。1時間16分の映画だけど、あと10分長ければ寝ていたと思う。

9月9日(土)
 少し朝寝坊して、午前中から原稿書き。映画の感想、情報誌のコラム、WEBの映画紹介などを次々に片づける。部屋から一歩も外に出なかった。

9月10日(日)
 映画紹介の原稿を書く。午後、買物のために外出。お酒を買ってきたりする。

9月11日(月)
 午前中に原稿の残りを書き上げ、メルマガの編集をし、DDI用の原稿を送信する。今週末のお勧め映画は『長崎ぶらぶら節』です。午後はFOXで2本立て。ペネロペ・クルスの『ウーマン・オン・トップ』と、リリー・ソビエスキーの『愛ここにありて』。どちらも期待したほどには面白くなかったのが残念。映画の後は少し時間を潰し、GAGAで『ゴッド・アンド・モンスター』の打ち合わせ。僕自身は何もしていないので、オブザーバー的に顔を出しているだけです。映画フォーラムでこの話を切り出したのが僕なので、一応は最後まで事態を見届けようとしているだけの話。

9月12日(火)
 午前中に映画の感想をまとめ、メルマガの送信予約も済ませる。午後はUIPで『ギャラクシー・クエスト』。これは面白かった。2本目は東映で『9-NINE(ナイン)』という映画を観たが、これは最悪……。アルファランドで「翻訳ピカイチ」を購入。山野楽器でDVDをながめたり、教文館で本を見たりして時間を潰し、夜は丸の内ピカデリー1でキアヌ・リーブス主演の『リプレイスメント』の試写。これはまずまずのデキだった。

9月13日(水)
 午前中に映画の感想を書く。午後はTCCで『KOROSHI』と『趣味の問題』。前者は『CLOSING TIME』『海賊版 = BOOOTLEG FILM』の小林政広監督の新作。緊張感のある面白い映画だった。人物が極端に整理されていて、舞台劇のようでもあるが、同時に非常に映画的でもある。後者は『私家版』のベルナール・ラップ監督の新作。ふたりの男の心理的葛藤を描くサスペンス・ミステリーだが、『私家版』ほどの切れ味とスリルは感じられなかった。これはそれこそ観る側の『趣味の問題』かもしれない。3本目は映画美学校でマイケル・ウィンターボトムの最新作『いつまでも二人で』。ウィンターボトム作品には珍しいコメディ映画。
 自転車で移動していたのだが、夕方からポツポツと雨が降り始める。3本目の試写の後、銀座1丁目のコージーコーナーで仕事の打ち合わせをしていたのだが、店から出る頃には本降りになっていた。自転車を店のそばに放置して、地下鉄で帰宅することにする。
 山野楽器で『スタア誕生』のDVDを購入。これはLDで持っていたものの買い直しだ。今回はノートリミングのワイド版で、しかも未公開映像などのオマケがたっぷり。教文館で「キリスト教2000年史」を購入。現在読んでいる「異端の歴史」のあとはこれを読むつもりだが、とにかく分厚くて重いので、持って歩くのは無理そう。全部で700ページ近くある。これは家で読む本だろう。夜になってマイケル・ケインの「映画の演技」を読了。

9月14日(木)
 午後はワーナーでイーストウッドの『スペース カウボーイ』を観る。SFXやVFXが満載された2時間10分の大作。面白いんだけど、終盤の緊迫感が伝わって来にくい。もっとわかりやすくすることはできたと思うんだけどな。この後もう1本続けて試写を観る予定だったのだが、会場を間違えて棒に振る。もっとも正規の会場に向かっても時間的に間に合わなかったので、あまり残念だとは思わないのだけれど。仕方ないので時間を潰し、夜7時から渋谷のシネカノンで『ルアンの歌』。

9月15日(敬老の日・金)
 午前中はかなりの朝寝坊。午後は近所で引っ越しの手伝い。帰宅は10時頃。疲れた。

9月16日(土)
 仕事をする。『パトリオット』についての小さなコラム原稿を書いた。

9月17日(日)
 久しぶりにCS。降ったりやんだり晴れたりとひどい天気。午後は仕事もせずにまず昼寝。夕方から仕事に取りかかる。

9月18日(月)
 午前中に入稿用の原稿を仕上げてしまう。メルマガの編集。DDI用のコンテンツ配信。午後は半蔵門まで試写を観に行ったのだが、到着したら誰も人がいなくてびっくり。先週に引き続き、またもや試写会場の勘違い。しょうがないので映画1本分の時間を渋谷で潰し、3時過ぎから新橋で『鳥の歌』。ちょっと寝てしまいました。

9月19日(火)
 午前中はほとんど仕事らしいことをしなかった。昼前に大きな荷物が届き、それを処理するのに時間をかけてしまう。午後の試写は一ヶ所きりだったのだが、これは映画美学校の生徒が作った短編映画4本立て。どれもあまり面白くなかったなぁ。『赤い芝生』意味不明、『夕陽』後味悪すぎ、『綱渡り』これだけはまずまずのでき、『APE』やっぱりつまらない。夕方まで時間が余ったので、フィルムセンターで木下惠介の『陸軍』を観る。以前並木坐で観たときはつまらない映画だと思ったのだが、これが素晴らしい映画であることに今更気が付く。最後は涙がじわじわと出てきてしまって……。
 山野楽器で『燃えよドラゴン』と『サイコ』のDVDを購入。多少は仕事がらみだけど、仕事になるのかどうか……。『サイコ』のメイキングはなかなか面白い。

9月20日(水)
 昨夜は飲みながら『サイコ』のDVDを観ていたせいか、ちょっと二日酔い気味の早い目覚め。ひとりで飲んでいると、つい飲み過ぎてしまうことがあって困る。なんだか胃のあたりがムカムカ。それでいて食欲はあったりする。6時前から目が覚めてしまったので、そのまま起きて映画の感想書き。10時からは東映で『新・仁義なき戦い』の試写。1時からUIPで『ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々』を観て、3時半からは渋谷で『2H』を観る。この3本目の映画は、前半でかなり寝てしまった。
 「異端の歴史」を読了して外出先で読む本がたまたまなくなったので、渋谷の旭屋書店でラッセル・ショートの「真説「聖書」・イエスの正体」と立川志らくの「全身落語家読本」を買う。前者は「史的イエス」の入門書みたいなもので、いわゆるトンデモ本というわけではないらしい。まぁトンデモかそうでないかは、読んでみないとわからないけど。法政大の高尾利数教授の解説は原著と訳書を読み比べることなしに訳語に文句を言うというヘンテコなものなのだが、その解説の冒頭に『私自身が聖書学の専門家ではないのに、自分がよく知らない領域に容易に手を出したと批判されてもいる』と書いているのが面白かった。これって「イエスのミステリー」や「死海文書の謎」といったトンデモ本を訳してしまったことについての弁明なのかしら。志らく師匠の「全身落語家読本」は、斜陽の落語界でなんとか落語の復権復活を企てようとしている著者の態度が見えて好感が持てる本。落語論であり、芸談であり、落語の解説書でもある。『落語は噺の設定が昔である。だからこそ、現代との接点を見いださなくては単なる昔話になってしまう。設定は昔だが、登場人物が現代の感覚を多分に持つことで初めて現代に生きる権利を持てるのだ』というくだりなどは、そのまま映画、とくに時代劇などにもあてはまる。志らく師匠はメンズウォーカーで一緒に話題作ミシュランをやっていて、一度食事会でご一緒したことがある。その節は遅刻して申し訳ありませんでした。

9月21日(木)
 午前中に映画の感想文を少し書き、その後仕事の原稿を1本書き上げてしまう。今週末はかなり仕事が入っているので(今月中にという注文が重なったため)、前倒しにできる仕事はなるべく前倒し進行。といっても、さほど進むわけではない。午後は半蔵門でグリーナウェイの『8 1/2の女たち』を観たが、なんだかスカスカの漫画みたいな映画だった。昔の重厚な絵作りは、今のグリーナウェイには存在しない。これは才能云々の問題ではなく、本人がそうした絵作りに興味を失ってしまったのでしょう。マンガチックなところは、グリーナウェイには昔からあった。『コックと泥棒その妻と愛人』では、ヒロインがトイレを出入りするたびに服の色が変わったりしてたっけ。あの映画のオチも、グロテスクというよりギャグすれすれ。たぶんこうしたグリーナウェイの漫画的な部分が、どんどん全面に出てきているんだと思う。真野きりな最高。
 場所を移動して3時半から映画美学校で『1st Cut』のドキュメンタリー・プログラム4本を観る。前回のドラマ4本はどれも物足りないできだったが、今回のドキュメンタリーはどれもそれなりに見応えがある。少なくともわかった気になってカメラだけが空しく回っている作品はなく、どの映画も作り手が素材と格闘しているのがわかる。もちろん物足りない部分も多いし、もっとああすればこうすればと思う場面も多い。でもそう思わせるだけ、先日のドラマ4本より今日観たドキュメンタリー4本に可能性を感じる。ドラマの方は「勝手にやってれば〜」という感じだったもんなぁ。会場で「10万人で映画を創る会」の竹下さんに会って、ちょっと話をした。会場から出たところで、今回観た映画の1本『2000年』を撮った林監督と少し話をした。その時は言い忘れたけど、この映画のタイトルは『Y2K』の方がよかったかもね。夜は六本木のオリベホールで神山征二郎の『郡上一揆』を観る。江戸時代に実際にあった百姓一揆の話を、史実に忠実に映画化したもの。ホールの設備のせいなのか、それとも録音のせいなのか、台詞が聞き取りにくくて難儀した。
 帰宅したらポストの試写状がドッサリ。FAXでも試写状がドッサリ。『シベリア超特急2』は試写が1回しかなさそうだなぁ……。2年前の東京国際映画祭に出品されていた韓国映画『故郷の春』が、『スプリング・イン・ホームタウン』というタイトルで11月に公開されるのかぁ……。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の試写会はどうしようかなぁ……。などと考えながら、夜は更けていくのであった。

9月22日(金)
 午前中に映画の感想をまとめる。『郡上一揆』の感想は、別の書き方もあったかなぁと反省。この映画は要するに江戸時代の市民による行政訴訟の話で、訴える側も訴えられる側も命がけというのが大きなドラマになっている。現在の市民運動家が、どれだけ自分たちの仕事に命をかけているのか……。そんなことを、この映画を観ながら考えた。
 午後は渋谷で『SWING MAN』の試写。木下ほうかの初主演映画だそうで、本人も試写室に来ていた。映画瓦版の掲示板に何度か書き込みをしてくれていたので、本人に声をかけようかとも思ったのだが、なんとなくタイミングを逸してしまった。映画は面白かった。カメオ出演の俳優がものすごい。日本版の『ザ・プレイヤー』みたいな感じ。木下ほうかはシリアスな演技をしているのだが、『絆』とはまた違う側面を見せている。日本映画ファンは必見。2本目は徳間ホールで増村保造の『刺青(いれずみ)』。これは気の強いヒロインが現代の観客の共感を得られると思うのだが、映画の中では彼女を「悪女」として描いているのが気に入らない。彼女は自然体でああいう人なのです。彼女の美しさや妖しさは、彼女自身の生存本能に根ざしている。僕は映画を観ていて、周囲の男たちの分別くささが退屈でしょうがなかった。3本目は松竹で『星願 あなたにもういちど』という香港映画。これは失敗だった。僕は男の側に感情移入しながら観ていたので、ちっとも泣けなかったのだ。これはヒロインの側に感情移入しなければならない映画なのに。
 一度帰宅して、夜は『バーティカル・リミット』を観に再度出かけようかとも思ったのだが、30分の映画のためにわざわざ出かけるのも億劫になって止めてしまった。ちなみにこの試写は本編ではなく、未編集の「特別映像」ということらしい。(メルマガには本編が30分だと書いちゃったよ。)本編の試写は公開直前に行うらしい。ソニーの試写室は歩いてすぐなので、公開直前に観ればいいや。公開は12月9日だから、試写は11月中旬頃かな。
 立川志らくの「全身落語家読本」を読了。

9月23日(秋分の日・土)
 雨が降っていたこともあり、1日中部屋の中で仕事。ラッセル・ショートの『真説「聖書」・イエスの正体』を読み始める。7割方は他の本でも読んだような内容だけど、それ以外の最新研究成果も乗っている。しかし「最新」の研究は、必ずしも聖書学の世界で大勢を占める意見というわけではない。しかしこの本はそうした最新研究によるセンセーショナルな仮説を強調することなく、比較的淡々と現代の「聖書学」や「史的イエス研究」について解説しているように思える。まぁ、最後まで読まないと何とも言えないけど。

9月24日(日)
 午前中はCS。午後は夕方まで昼寝して。あとはコツコツと仕事。初めての仕事先の原稿を仕上げてメールで送るが、たぶんこれは書き直しが必要になるだろう。WEBページの中の映画コーナーを全部やるのだが、いくつかある記事をどういう切り口で仕上げていくかについて、編集者ともう少し話をする必要がありそうだ。今回入稿したのは、そのための叩き台みたいなもの。そんなこともあって、予定より少し早めに入稿した。

9月25日(月)
 午前中は映画紹介原稿を数本書き上げ入稿。メルマガの編集。
 午後は京橋で『流星』『閉じる日』の2本立て。合間に東京駅のさくらやで腕時計の注文。先日『星願 あなたにもういちど』を観て、主人公が使っていた盲人用の腕時計がどうしても欲しくなってしまったのだ。見た目は普通のアナログ腕時計なのだが、ガラスの蓋がぱちんと開いて、中の針を直接指で触れる仕組み。試写室の暗闇の中で、時間を調べるのに便利そうではないか。(今はデジタル時計のバックライトを使っている。)インターネットで調べたところ、セイコーから同様のものが発売されていることをつきとめた。というか、この形式の盲人用腕時計を発売しているのは、日本ではセイコーしかないのだ。定価は1万4千円だけど、25%割引なので税込み1万円ちょっと。特殊な時計なのでメーカーからの取り寄せになり、水曜日に入荷するとのこと。楽しみだ。案外、すぐに使わなくなってしまうことも考えられるけど。銀座松屋で金魚水槽用のヒーターと水温計を購入。その後銀座で『ギター弾きの恋』。

9月26日(火)
 午前中に昨日観た映画の感想を書くが、少し残したまま試写へ。『PARTY 7』を観ようと思ったのだが満席で入れず。これは別日に回す。試写室を出て外に出てきたら、ポツリポツリ雨まで降ってきて情けない気持ちになってしまった。次の試写まで時間があったので、本屋などで少し時間を潰す。カメラ雑誌を見ながら、デジカメが欲しいなぁと思う。高倍率ズームレンズが付いたカメラがあれば、記者会見や舞台挨拶を取材して、ホームページ用に写真を撮ることもできる。まぁ実際にはそんな記事を書く暇なんてほとんどないけど、どうせ仕事なんてほとんどないんだから、自分で勝手に取材して記事を作り、どこかに売り込むということも考えられる。
 そうこうしているうちに雨も上がる。松竹で3時半からエドワード・ヤン監督の『ヤンヤン、夏の想い出』を観る。3時間近い映画だが、これがじつに面白かった。(それでも眠くなったので、途中でエスタロンモカをがりがり囓ってましたけど。)日本人ビジネスマン役で、イッセー尾形も出演している。

9月27日(水)
 午前中に映画の感想書く。午後は自転車移動。まずはTCCで『地下の民』。2時間5分。面白かった。次はメディアボックスで『キンスキー、我が最愛の敵』というドキュメンタリー。これも面白かった。最後はヤクルトホールで『アレクサンダー戦記』これはひどくつまらない。退屈きわまりない1時間42分。1日に観る映画が全部面白いということは滅多にないけど、最後にダメな映画にぶつかると辛いなぁ……。
 さくらやに注文していた盲人用腕時計を受け取る。見た目は普通のアナログ・ウォッチとまったく変わらない。違いは秒針がないことと、ガラス蓋が開いて長針と短針を直接指で触れることだ。実際使ってみると、これで時間を即座に判断するまでにはかなりの慣れが必要だと感じた。文字盤は白いものを選んだので、多少の明かりがあれば目で見ても時間はわかると思う。実際に手探りで時間を読まなければならないケースは、試写室の中でもそうそうないだろう。それよりも蓋が開いたり閉じたりするというギミックが面白い。

9月28日(木)
 晴れていたので本日も自転車移動。今日は「前回満員で入場を断られてしまった映画」の特集。1本目はヘラルドで『宮廷料理人ヴァテール』。次が映画美学校に移動して『独立少年合唱団』、3本目がメディアボックスで『PARTY7』。どれも最後まで空席があった。得てしてこんなものだ。
 石井克人監督の新作『PARTY7』にはガッカリだった。試写の最中、誰も笑わない。映画が終わって明かりがついても、しばらくはみんなイスに座り込んだまま立ち上がらない。なんだかひどく疲れる映画だった。『鮫肌男と桃尻女』が面白かっただけに、今回のギャップには参った。『踊る大捜査線』のあとに『スペース・トラベラーズ』を観たときもガッカリしたが、今回はそれ以上に落胆させられた。

9月29日(金)
 一週間も最後。もうバテバテ。背中がズキズキ痛む。頭もぼんやりしている。う〜ん、寝ていたい。でもやっぱり朝6時過ぎに起きる。そして仕事する。
 午後は『シャフト』の試写から始まった。これはカッコイイ。疲れも吹き飛ぶ面白さ、痛快さ。サミュエル・L・ジャクソン最高! 音楽もノリノリ! 刑事アクションドラマでは久しぶりの傑作だ。2本目は『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』。リリー・ソビエスキー好き! やっぱり背が高い! やっぱり可愛い! 監督はジェイムズ・アイヴォリーで、なかなか丁寧に作ってある。ただし長い。2時間7分。3本目は恵比寿の写真美術館で、庵野秀明監督の新作『式日』。これも長いぞ2時間8分。週の最後にこの長さはちと苦痛だった。

9月30日(土)
 映画の感想を書くのも早々に切り上げ、午前中から『この胸のときめき』初日鑑賞オフに参加。シャンテ・シネに10時20分集合。参加者総勢18名で、男性は僕だけ。映画のあとは食事と歓談。僕は4時過ぎに切り上げて帰宅したが、他の方々は夜までワイワイやるようだ。ご苦労さん。朝は降っていなかったのに夕方から雨。自転車を銀座に置いて、地下鉄で帰宅。夜は試写に行くつもりだったのだが、飲み過ぎてだるくて身動きできなくなってしまった。




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