2001年8月の出来事

8月1日(水)
 午前中に映画の感想を2本書く。午後は徳間ホールで『ドラキュリア』を観ることからスタート。『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』に続く「吸血鬼は本当にいた」という映画だが、吸血鬼映画にしては品格や気品というものが感じられない。吸血鬼の正体についての新説は面白かったけど、それがドラキュラの孤独や苦悩というものには繋がっていないのでちょっとアイデア倒れ。吸血鬼の正体については僕なりの仮説もあったりするんだけど、それはそれとして……。
 2本目は映画美学校でリュック・ベッソン製作の『Yamakasi/ヤマカシ』 。これはなかなか痛快で面白かった。先日観た『キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『TAXi』シリーズなども含め、ベッソンは特撮なしで描かれる生身のアクションやスタントを復権させようとしているように思える。この映画でも主人公たちの「体技」が最高の見せ場になっていて、お話が多分にご都合主義だったりすることも気にならない。
 今日の試写はこの2本で終わり、夜は@niftyのシスオペ勉強会。7時から大森の@nifty本社セミナールームに有志が集まって、フォーラム活性化についてあれこれ。最後はやっぱりTTY環境とWebのどちらに比重をかけるかや、@niftyのホームページ製作環境の貧弱さといった点に落ち着くのだけれど……。僕自身は自分が某フォーラムの(名目だけだが)シスオペをしているということもあり、 何かこれといったフォーラム活性さくがあるのなら参考にしたいと思ったのだが、特効薬はありそうもなかった。
 勉強会の後、駅近くの居酒屋で恒例の飲み会。 帰宅したのは12時を回っていた。自転車を有楽町に置きっぱなしなので、回収の手だてを考えなければならない。

8月2日(木)
 午前中に映画の感想を書くが、どうしても1本取りこぼす。だめだなぁ。食事の後30分弱の仮眠を採り、午後はムービーテレビジョンの試写室で『ポワゾン』。おそらくはここが仕事場から一番近い試写室だと思う。今までは大川を渡って聖路加ガーデンのソニーが一番近かったんだけど、ムービーテレビジョンはその必要がない。うちから歩いて5分ぐらいかなぁ。交通の便が悪いので、よほどのことがない限りマスコミ試写が行われる機会はないと思うけれど(今回も何回かある試写の内ほんの数回がここ)、試写室としてはなかなか立派なものだった。ドルビーデジタルとDTSに対応しているのは、最近の試写室としては当然か。しかしこれに対応していない試写室も、まだまだ多いものなのです。座席も傾斜が付いていて前の席が気にならないし、席の前後間隔も比較的ゆったりしているような気がする。座席にカップホルダーが着いているのは、マスコミ試写ではなく関係者向け試写としてのニーズが高いからだと思う。ロビーもすごくゆったりしていていいなぁ。映画はまずまず。ただ最後のオチは不要だったと思うけど。
 2本目はそのまま有楽町線で銀座一丁目まで移動し、東映で『RED SHADOW 赤影』を観る。だいたい15分前には到着したのだが、もう試写室がぎっしり。こんなに混んでいる東映試写室を見たのは初めて。残念ながら僕は映画にノレなかったのだが、その理由は映画瓦版に書くとして、後ろで立ち見をしている人の影がスクリーンをうろうろしていたのは気になってしまった。あ〜、しかしちょっと期待していただけに、映画のこのデキは納得できないなぁ。『SFサムライ・フィクション』も僕としては納得できていないのだが、この映画はそれと同じような世界観で作られているのだ。最初に布袋寅泰が『SF』と同じキャラクターで登場するしね。
 少し時間が空いたので軽く食事し、6時半から映画美学校第2試写室で『My Generation』というウッドストックのドキュメンタリー映画。有名なウッドストックのコンサートは1969年に開催されて映画にもなっているが、この映画で取り上げられているのはその25周年記念と30周年記念のコンサート。
 映画から帰る途中、通り道の公園で盆踊り大会をやっていたのでちょっと自転車を止めて様子を見る。

8月3日(金)
 あ〜、35歳になっちまったよ。いよいよ「中年」とか「おじさん」と言われても文句の言えない年だなぁ。気持ちはいつでも25歳なんですけどね……。僕はノストラダムス世代だから、自分が21世紀まで生きているってことを子供の頃にイメージしたことがなかった。ましてや35歳の自分なんて考えもしなかったけれど、 時間は自然に過ぎて人間は自然に年をとる。年をとったからといって、別に偉くなったわけでも賢くなったわけでもないことが、我が身を振り返るとよくわかる。亀の甲より年の劫というのは、単に「人間は亀よりは少しマシ」と言っているに過ぎないんじゃないだろうか。
 ことわざで思い出したけど、先日友人達と飲んでいるときスキャナやデジカメの話になった。僕はどちらも持っているんだけど、持っていない人が「なくても不自由しない」「持っているからといって何に使うのか」「実際どの程度使うものなのか」という話をするわけです。答えは「なくても困らない」「実際にはほとんど使い道がない」「滅多に使わない」のだけれど、これは「持っていると安心」という一語につきる。つまり「備えあれば憂いなし」なのだ。「憂い」というのは気分の問題であって、実際上の用途のことではない。「備えあればとても便利」ではなく、「憂い」と言うあたりがこのことわざの真実だろうなぁ。結局昔から人間は、「いつか使うかも」「あれば便利かも」という漠然とした理由で、いろいろと生活に直接必要のないものを買ったり持ったりしているに違いない。
 そんなわけでまた不要なものを買ってしまった。BTRON-OSの「超漢字3」。販売価格は14,800円+税で、今日の帰りに有楽町のビッグカメラで買ってきた。僕は現在のWindows環境に何の不自由も感じていないので本来これは不要なのだが、今使っていない古いノートパソコンにインストールできればめっけものという感じ。とりあえず普段使っているデスクトップパソコンにインストールしてみたが、USB接続しているADSLモデムを認識しないので(ドライバをインストールしていないのだから当然だ)インターネットに使えないことがわかる。これでノートパソコンにインストールできなければ、まさに無用の長物だなぁ。近日中に実験してみるつもり。
 本日の試写は午後から松竹で鈴木清順の『ピストルオペラ』。日活時代最後の作品『殺しの烙印』の現代風リメイクということだが、主人公が女になり、映像がカラーになり、筋立てもかなりいじって前作とはまったく違った印象の作品になっている。一応、前作と同じ世界観を持った作品ぽいのだが……。物語は難解というより支離滅裂。この支離滅裂は確信犯だから、わからなくてもまったくOK。映画を観ている内に脳みそが解けていくような不思議感覚を堪能できる。
 2本目はFOXでアシュレー・ジャドの『恋する遺伝子』。これは面白い。最後の詰めがちょっと甘いけれど、それを全部埋め合わせるだけの魅力がある。相手役となっている『X-メン』のヒュー・ジャックマンがよろしい。映画俳優としては遅咲きだけれど、舞台で培った実力がこの作品で見事に花開いていると思う。今後が楽しみ。
 3本目はTCCで『サイアム・サンセット』。『プリシラ』というより『バグダット・カフェ』みたいなファンタジー。

8月4日(土)
 午前中に書き落としていた映画の感想を書いてしまい、昼頃には仕事の原稿も入稿してしまう。遅めの昼食をとって少し仮眠。午後は映画の感想を全部書いて、それで今日の仕事は終わりかな……。
 昨日から「超漢字3」をいろいろいじくり回しているのだが、Windowsに比べると“できないこと”が多すぎてまったく仕事に使おうという気持ちにはなれない。最初に原紙から書類を作り始めるとか、書類の中に別のアプリケーションで作った書類を埋め込んでいく(仮身・実身)など、TRONでしかできないユニークな機能もあるのだが、スタンドアローンでプリンタにもうまく繋がらず(工夫すれば繋がるかも)、通信もできないような環境では(チャレンジしてみただ駄目だった)、利用範囲は自ずと狭まってしまう。アイデアプロセッサーとしては出色だと思うのだが、それをドキュメントとして出力する環境が、少なくとも僕のパソコン環境では用意できないのが致命的かも。ノートパソコンへのインストールはまだ実験していないのだが、これが仮に成功すれば、多少は違う展開が見えてくるかな……。

8月5日(日)
 午前中はCS。夏休みなのでほとんど人がいない。夕方からバスで木場のイトーヨーカドーにでかける。 109シネマズ木場が入っている大型スーパーで、普段食料品や雑貨を購入している小さなスーパーに比べると桁違いに広い。売り場は3フロアに別れているが、1つのフロアにさまざまな商品が置かれる構成は欧米の大型スーパーに近いと思う。近々シネコンも利用してみるつもり。
 最近広告のクリック率が少しずつ下がっているような気がする。パソコンショップに行くと、WEB広告を非表示にするソフトなんかも売っているぐらいで、いよいよWEBの広告は利用者にとって「邪魔者」でしかないということか。映画瓦版も広告収入を増やすことを諦めて、別の方向性を求めるべきかも。現在はサーバーの無償提供という形で企業の支援を受けている映画瓦版だけれど、今後はさらに踏み込んで、サイト全体のスポンサーになってくれる企業を探すべきなのかも。
 映画瓦版に新しい機能も付け加えたいのだが、とても自分一人では手が回らない。既に「現在公開中の映画」も閉鎖してしまった。これは復活を望む声も多いのだが、現在の状態では復活は無理だ。「個人運営のサイト」という基本を守りつつ、ボランティアのスタッフを募って周辺コンテンツを充実していければそれが一番なんだけど。掲示板運営は明確なルールを決めたことで運営を第三者に委託できることが証明済みだし、「現在公開中」 も作業としては単純なもの。他には定例のチャットやオフ会などは、僕が幹事になるのではなく、誰か別の人に取りまとめをしてもらえると有り難い。まぁオフ会はいつも他人にお任せなんだけど、毎月とか隔月とか、定期的にオフができればその方が面白いかも。チャットも毎週か各週で決まった日に開催できれば、その方が参加者にとってもメリットが大きいと思うけど……。僕としては映画瓦版を映画評とコミュニティ機能という二本立てのサイトにしたいんだけど、アイデアがあっても手がないというのが現状。

8月6日(月)
 先週に引き続き、今週もまた月曜日の試写を全部よそに回して1日中仕事。仕事といっても半分以上は映画瓦版の記事を書いているわけだから、ぜんぜんお金とは関係のない作業。最近つくづく思うけど、このままだと僕はいずれ映画瓦版のために破産すると思う。一銭もお金にならない作業で、現金収入の道を自らふさいでいるようなものだもんね。 年中忙しがっているくせに、やっていることは自分のホームページを作っているだけ。お金にならないから常に貧乏。先月なんて本当にお金がなくなって、試写に行く電車賃もなくなったほどだからなぁ……。最初はサラリーマン生活の合間に趣味で始めたサイトですが、最近はサイト更新の合間に仕事をしている。まったくアベコベな暮らしぶりで、これじゃ家計が破綻するのも当然だなぁ。
  な〜んて改めて考えたのは、映画瓦版にサイトの説明文をくっつけようとして原稿を書いているから。今まで自己紹介ページを作っているし、掲示板やMLなど個別の内容については説明のページを作っている。でも「映画瓦版とはそもそも何なのか」という説明が、映画瓦版にはなかったような気も……。「八丁堀発・映画半可通だより」からの沿革をまとめていると、僕はかれこれ7年もホームページを作っていることがわかって自分でビックリした。何しろ僕が映画評のサイトを作り始めた当時は、日本語版のNetscapeが出た直後ぐらいだったと思う。マイクロソフトのInternet Explorerなんて当然なかった。モザイクがまだ一部で現役だった時代です。当時は会社でMacintoshを使っていたので、メーラーはユードラだった。その後1年か2年でインターネット環境が激変して、当時つき合いのあった某アクセス・プロバイダの広告担当者に「メールは絶対に便利だから、専用の端末があれば女子高生などが絶対に使うようになる」なんて話をしていた。こういう話が出てくるくらいだから、当時は携帯メールなんて存在しなかった。あ〜、なんかこういうインターネット昔話っていくらでもネタがあるなぁ。誰か僕にその手の話を書ける媒体を提供してくれないものだろうか。もちろん「仕事」としてだけど。僕はパソコン通信時代からもうかれこれ10年以上のネットワーカーだから、いろんな話があるぞ〜。
 広告のクリック率の話を日記に書くと、その日はクリック数が確実に増えるという有り難い傾向がある。今後は機会がある事にインターネット広告の話を日記に書こうと思う(苦笑)。ただし日記で一時的に増加したクリック率が長く定着することはない。僕は自分が一時広告業界にいたこともあって、あまり広告を敵視することはない。それでも自分では他のサイトの広告をクリックして回ることはないから、やっぱり普通の人は広告なんてクリックしないのかも。 自分では動作確認のため、ファイルをアップロードした直後に各ページの広告をクリックすることがあるけれど、せいぜいその程度かな。でも広告って、思いもかけない情報に出会えるということでは、いいメディアだと思うんですけどね。WEBというのは基本的に、ユーザーが自分で興味がある情報を取りに行くわけですが、WEB広告はそんなユーザーに、興味がない情報や不要な情報を押しつけてくる。でもこの押しつけという偶然が、新しいサイトや情報との出会いを生むことがある。僕は広告で見つけたサイトを、いくつか自分のブックマークに入れてます。広告から得た情報をもとにして、アイデアを思いつくことも多い。広告されるのは常に世の中の最新情報だから、昨今の世の中のトレンドなどもわかるしね。アダルトサイトで次々に広告がポップアップするのには閉口するけれど、 そうでない映画瓦版程度の広告は大目に見てほしいし、機会があったらクリックしてみてはどうでしょう。何か思いがけない情報に出会えるかもしれませんよ。
 多少日記らしいことを書いておくと、夕方から門前仲町に買物に出かけた。昨日イトーヨーカドーで買えなかった下着を購入。昔のおじいさんなどが着ていた前ボタンで留める男性用の下着ですけど、こういうものが普通に置いてあるのが門仲とうい土地柄なのかもしれないなぁ。ちなみになんで僕がそんなものを欲しがっているかというと、来週は八幡様のお祭りがあるので、僕も半纏にねじり鉢巻の祭り姿になるわけです。 半纏の下に肌着を着ておくと日焼け防止になるし、深川名物の水をかけらたときに大分違うはず。これがTシャツだとまったくサマにならないので、じじくさいシャツをわざわざ買ったわけです。ちなみに当日は白ブリーフ着用。下に色つきのパンツをはいていると、水をかけられたときに透けて見えてみっともない。 夕方から雨がぱらついたのであわてて帰ってきたのだが、それ以上雨がひどくなることはなかった。
 今日は原爆の日でいろいろ式典もあったようだが、それより僕は室伏が銀メダルを取った世界陸上の中継を興奮しながら観ていた。 原爆はもういいよ。なぜかということを書くとまた長くなるし、日記に書くようなことでもないのでやめておく。こういうことも、仕事で書かせてくれる媒体があれば書きたいけどね。わざわざホームページに「エッセイ」や「コラム」のコーナーを作るほど暇がないもんで。ただでさえ映画瓦版で貧乏しているのに、これ以上コーナーを増やしたらドツボです。

8月7日(火)
 日記に広告クリック率の話を書くとクリック率が上がることを証明しようとしたのだが、昨日は代理店のサーバが不調で数時間に渡って広告配信がストップし、それで広告表示数もクリック数も少なくなってしまった。読者が殺到する昼休みに、ちょうど広告が止まるんだもんなぁ……。
 朝からメルマガの編集と発行手続き。前日に映画を観ていないので、時間的には余裕がある。午後は映画美学校第2試写室で『デュエット』。グウィネス・パルトロウが主演のひとりで、監督が父親のブルース・パルトロウという話題性が売りだが、映画としてもとても楽しいものに仕上がっている。カラオケをテーマにした集団劇で、いわばアメリカ版の『のど自慢』。歌うシーンがとにかく楽しい。歌うことで人間同士の絆が深まったり、歌うことで仲直りしたりという展開は、まるっきりミュージカル映画と同じ。ミュージカル者の僕としては非常に楽しめた。出演俳優のほとんどが、実際に自分で歌っているのもすごい。グウィネスとヒューイ・ルイスのデュエットが素敵。カリテでレイトショーのみなんてもったいない。
 2本目はソニーで『エボリューション』……と思ったら、試写スケジュールを間違えていて大慌て。 試写状を大急ぎでチェックして、松竹で韓国映画『Interview』の試写。アジア初のドグマ作品。シム・ウナは本当にこれで引退なのかなぁ。結婚引退の噂があるらしいのだが、映画復帰を強く望みたい。もったいないよ。
 夜は『ファイナルファンタジー』の完成披露を観る予定にしていたのだが、ちょうど今日新しい試写状が来ていたのと、試写開始まで少し時間が空いてしまうのが嫌で、急遽ワーナー配給のサスペンス映画『ソードフィッシュ』の完成披露に切り替える。トラボルタとヒュー・ジャックマン主演。共演にハル・ベリー。トップレスのシーンがあるのだが、おっぱいがたれていてちょっとショック。彼女が輝いていたのは、やっぱり『ブーメラン』のヒロインをしていた頃かなぁ。『エグゼクティブ・デシジョン』のスチュワーデス役も悪くなかったけど。あまり作品に恵まれないのはなぜなんだろう。現場で嫌われる理由が何かあるのかな。よくわからんが、ちょっともったいないことをした。時間は戻らない。たれたおっぱいはもとに戻らない。あ〜あ。

8月8日(水)
 午前中に昨日観た映画の感想を全部書いてしまう。昨日観た映画はどれも輪郭のはっきりした作品だったので、感想を書くのもわりと楽。それにしても『ソードフィッシュ』のドミニク・セナ監督は、今回ジョエル・シルバーと組み、前回は『60セカンズ』でジェリー・ブラッカイマーと組んでいる。なんだかすごい監督だなぁ……。
 午後はソニーで『COWBOY BEBOP 天国の扉』。テレビ版は見ていないのだが、結構面白いじゃないか。アクションシーンもよくできているし、登場するキャラクターも魅力的。会話も生き生きしている。電話を持って出るのを忘れたので一度部屋に戻り、メディアボックスでジャン=ジャック・ベネックスの『青い夢の女』。これは面白かった。シリアスな心理サスペンス、ベネックス版の『ロスト・ハイウェイ』みたいな作品かと思ったら、途中から死体を巡るコメディになる。ヒッチコックの『ハリーの災難』や『フレンジー』に似たブラック・コメディ。大笑い。ラブコメ要素もある。それにしてもジャン=ユーグ・アングラートは年取ったなぁ……。年取ってもちゃんと「恋する男」を演じているのが、フランスの俳優の偉いところだ。
 最後に観たのはタイ映画『少年義勇兵』。1941年12月8日、日本はアメリカの太平洋艦隊をハワイ真珠湾で奇襲。それに先立つこと数時間前、日本軍はマレー半島に上陸作戦を行う。ここでタイの少年義勇兵たちと数時間に渡る戦闘が行われたのだ。物語は前半で少年兵たちの友情や恋のさや当てを描き、終盤は日本軍との壮絶な戦闘シーン。なんだか『パール・ハーバー』と同じ構成なんですけどね。でも映画としては圧倒的にこちらの方が面白い。『パール・ハーバー』に物足りなさを感じた人は、ぜひ観てほしい作品。
 仕事の依頼が1件入る。日本人なら誰でもその名を知っている超有名映画評論家を、近日中にインタビューすることになりそうだ。試写室では何度かそのお姿を拝見していますが、直接話を聞くのは初めてなのですごく楽しみ。
 今日は広告のクリック率がいつもより0.02%ほど高い。有り難いなぁ……。いささかけちくさい話ではあるけれど、この万分の1レベルのクリック率の違いが、最終的には結構大きな差を生み出すのです。 何しろ映画瓦版は1日に3万ページビューですから、0.01%クリック率が上がれば、それだけで1日3件クリック数が増えるわけだ。月トータルで0.1%もクリック率が上がったら、僕の生活はだいぶ楽になる。クリック率が1%あったら、僕は左うちわで暮らせます。

8月9日(木)
 人生は思惑違いと挫折の連続だ。多少大げさだが今日もそんな1日だった。午前中に映画の感想を全部書き終わらなかったのはいつものことだが、午後の試写はもうメタメタだった。最初はアップリンクでスティーブン・ソダーバーグ監督の『スキゾポリス』を観る。'96年に製作された(おそらくは)超低予算映画なのだが、これがひどくつまらない。ソダーバーグは『アウト・オブ・サイト』や『エリン・ブロコビッチ』や『トラフィック』の前に、こんなとんでもない映画を撮っていたのね……。ここまで自分のやりたい実験的なことを徹底的にやり尽くせば、作風も変化するでしょうとも。でもほとんど自己満足だと思うけど。自己満足は本人だけは満足しているからこそ「自己満足」と言う。ソダーバーグ監督はこの作品にひときわ愛着を持っているのだとか。なるほど、そりゃそうでしょうとも。
 2本目に少し眺めの映画を観ようと思っていたのだが、その次の試写との間があまりないので、急遽予定を変更して東映で普通の長さの映画を観ることにした。ところが試写室に行ったら「手違いでプリントが届きませんでした」と言われて引き上げる。長い映画を観ようと思えばまだ間に合う時間だったのだが、気持ちがすっかり「長い映画はやめやめ」という状態だったのでどうしてもそちらに足が向かず、コンビニで漫画雑誌を立ち読みしたりして時間をつぶす。
 3本目というより実際は2本目だが、夕方からよみうりホールで『ムーラン・ルージュ』の完成披露試写。これは面白かった。久しぶりに大作ミュージカルを観た。バズ・ラーマンは『ダンシング・ヒーロー』を観たときから、いつかはミュージカルを撮る監督だと思っていました。話は陳腐だけど、ミュージカルなんてどれも陳腐な話に決まっている。音楽が既製曲ばかりだが、往年のミュージカル映画だってみんな既製曲の寄せ集めじゃないか。ムーラン・ルージュという実在の場所を舞台にした荒唐無稽なファンタジー。歴史の無視なんてミュージカルには普通の話。これはこれでいいのです。大満足。ボリューム満点でもうお腹一杯になってしまったので、この後予定していたアイマックスの試写はやめることにする。最近根性がなくなってるなぁ……。これはまだ別の日があるので、そちらに回すつもり。
  日記に広告の話を書くとクリック率が上がるようなので、今日も広告の話を書く。先日地方のメル友から「美容整形の広告をクリックしたら乳首を小さくする手術の広告が出ていて大笑い」という趣旨のメールを貰い、僕もその広告をクリックしてみた。確かにそんな広告があるんですが、値段を見ると結構するんです。そこまでして乳首を小さくしたり大きくしたりしたいもんなんですかね……。まぁこれはいいとして、値段表の中に「処女膜再生手術」があったのには驚いた。そういう手術があるのは当然知っているけど、いまだにこんな手術にニーズがあるのかなぁ。値段表に出てくるからには少なからずニーズがあるんだろうけれど、どんな人がどんな事情で手術をするのか考えると、そこに人生のさまざまなドラマを感じてしまう。ちなみに値段については広告をクリックしてみてください。処女膜再生手術より、膣の締まりを良くする手術の方が実用的なメリットは大きいような気がしますけどね。
 処女膜再生も乳首の整形も僕自身にとってはまったく無関係な情報なんだけれど、こうした「自分の生活には無関係だけれどすごく面白そうな情報」に出会えるのは広告のメリットです。

8月10日(金)
 いまだに「TROJ_SIRCAM.A」のウィルスメールが送られてきて非常に迷惑。添付ファイルのサイズが大きいと、携帯メールの容量なんてすぐにパンクしてしまう。 ちなみに僕自身はマイナーなメールソフトを使っているので、このウィルスの配布元にはなっていないと思う。マイクロソフトのアウトルック系メールソフトを使っている方はご注意を。
 今日は午後3時半から試写があるので、昼過ぎまでたっぷり時間があった。時間があるなら仕事すればいいのに、ついつい余計なことをして現実逃避をするのが最近のワタシなのである。今日はレンジ周辺の油汚れを徹底的に掃除。換気扇の周囲まで洗剤でぴかぴかにしてしまった。おかげで肝心の映画の感想なんかは書けなかったりして……。やっぱり現実逃避だ。
 3時半からイマジカの別館第2試写室で韓国映画『リベラ・メ』の試写。消防士と放火魔の攻防を描く韓国版『バック・ドラフト』。火災シーンは凄い迫力だが、ドラマ部分は話が未整理でごちゃごちゃしすぎ。夜は7時からよみうりホールでワーナー配給の『スウィート・ノベンバー』。う〜ん、これはどう評価すればいいのか。笑うこともできなければ、泣くこともできないという、じつに煮え切らない態度の映画だった。役者はいいんだけどね。脚本が中途半端なのかな。主人公たちのなれそめが強引すぎて、物語に入り込むのに少し時間がかかってしまうのが難点。主人公の職業が広告業界のクリエイターになっているのは、少し前まで好景気だったアメリカの経済を反映してのことだろう。映画は世相を映すのだ。
 広告のクリック率は普段の倍ぐらいになっているけれど、普段がそもそも低いからなぁ……。でも日記で広告の話を書くのは、やはりある程度クリック率のアップに繋がるみたいです。

8月11日(土)
 映画の感想を全部書く。といってもたいした量ではないのだけれど……。仕事の原稿も1本書き上げて入稿。仕事用のサンプルビデオが到着したので、これも早めに見てしまわなければ。そんなわけでやらなければならないことは多いのに、ちまちまとウィルス対策用のソフトをインストールしたりして時間を費やす。
 夕方から晴海の「東京湾大華火祭」へ。昼頃に土砂降りの雨が降るなど天候が心配だったのだが、なんとか雨だけは免れた。でも曇り空で雲が低くたれこめ、花火が高く打ち上げられると雲の中に入ってしまう。これはこれで珍しいものを見たけれど、尺玉など大型の花火が雲に隠れてしまうのは残念。周囲からも「もったいなぁ〜い!」という嘆きの声がしきりに聞こえた。今回は主会場で見たので、帰りはすごい人手で参った。

8月12日(日)
 午前中は深川の富岡八幡宮のお祭り。本祭りは来年だが、今年は子供神輿連合渡御という新企画。天気がすごく心配だったのだが、朝から小雨が降っていて、深川の水かけ祭にしては悪天候。雨はその後も降ったり止んだりで、その中で神輿の列に見物客が水をざぶざぶかけるから、参加者はみんなガタガタ震えていた。泣き出す子供、かけ声が出ない子供、途中で脱落してしまう子供多数。子供たちを地域の祭に親しませようとする企画だと思うのだが、かえってお神輿に拒絶反応が生まれてしまったりして……。来年の本祭りには僕も参加する予定。中学生の頃からだいたい毎回参加しているのだが、その中で天気がよかったことはほんの数回しかない。どうもこのお祭りは、天気に恵まれないんだよなぁ。来年はどうなるんだろうか。
 午後は夕方まで昼寝。夜は日比谷映画で『千と千尋の神隠し』の最終回を観る。既に試写で観ている映画だが、切符が回ってきたので混雑具合を実地に見てくることにした。日比谷の映画街ではスカラ座と日比谷映画の2館体制。スカラ座は既に満席だったので日比谷映画に向かう。日曜日の最終回にも関わらず、劇場は7〜8割埋まっていた。大ヒットしているという話はガセではなかったらしい。時間や場所の問題もあるのだろうが、観客の中には子供がほとんどいない。大人ばっかり。おそらく昼間の回は子供も多いだろうから、この映画は年齢層を問わずに観客を惹き付けているのだろう。地方でも客の入りがいいそうなので、これは今年1番のヒットになるだろう。おかげで秋の番組スケジュールが大幅に乱れているという話だけれど……。
 夏休みに入って広告クリック率は大幅にダウン。 休み前には瞬間風速的にクリック率が上がったのだが、一種のリバウンド効果だろうか。今週中はページへのアクセス数もあまり期待できないので、今月の広告収入はいつもより減ってしまうかも。

8月13日(月)
 今日は試写の予定を全部はずして部屋で仕事。といってもメルマガの編集など趣味の領域です。夜は来週のインタビュー取材に備えてサンプルビデオを見る。う〜む、これは聞きしに勝る怪作だ。ラストの数分を見るだけで、それまでの1時間何十分かが吹っ飛んでしまう。アメリカンバージョンになっているのだが、これは日本公開版と違うのだろうか……。DVDのおまけがどうなるのかも楽しみ。
 某配給会社から「映画瓦版」の記事についての問い合せ。先週観たある映画について、僕がプレスの記事の混乱を指摘したところ、それについて「どこが混乱しているんでしょうか?」というお話。そう正面切って言われると僕も自信がないので、あくまでも僕の読みとった内容ということでストーリーについて話す。結局先方も納得して「なるほど」ということになったんだけど、話をしながらまた僕も混乱してきてしまって、なんだかヘンテコな映画でしたねと電話口で笑いあう。
 もう一件別の配給会社からも電話があって、11月にル・シネマで公開予定の某フランス映画について話す。「この映画の売りって、監督と主演女優以外のどこなんですか?」と問うと、「一応ストレートな恋愛映画ということなんですが、それ以外の切り口を模索中」とのことでした。宣伝部に入ったばかりという男性だったんですが、いきなり難しい作品にあたってしまったのかも。
 週明け締切の記事について編集部に問い合せたところ、編集者が夏休み。夕方には別の雑誌の編集者から電話があって、次の号の打ち合わせ。 劇場公開映画とDVDを紹介しているのだが、DVDの候補作を何にしようかとペチャクチャ。「ワイルド7」はどうかと尋ねたら、この編集者が「ワイルド7」を知らなかったのにちょっと驚いた。あ〜、なんか世代のギャップを感じてしまったよ。結局作品は別のものにすることにしたんだけどね。
 世間は夏休み。午前中、銀行に行くついでに商店街をのぞいたら、どの店もシャッターが下りてがらんとしてました。映画瓦版のアクセスも少し鈍っている様子。最近は自分でホームページの広告をクリックして広告をよく見るようにしているのだが、最近気になっているのは視力矯正手術の広告。僕は極度の近視なのでメガネが手放せない。これを手術できれいに直せるなら多少高価でも……と昔は思ったけれど、目玉にメスを入れるというのがおっかなくて。案内の広告を見る限り、費用はそれほど高くないようだけれど。

8月14日(火)
 午前中にメルマガの発行手続き。午後は映画美学校で『純愛譜』という日韓合作映画を観る。韓国の映画監督が日本の少女を主人公に日本ロケで日本語の映画を作れるようになったのは、韓国がここ数年かけて日本の大衆文化受け入れを解放してきた結果だろう。しかし今年は教科書問題と首相の靖国参拝問題があって、韓国国内では反日ムードがいつになく高まっているらしい。日本語がしゃべれたり、日本人に友達がいるなどの理由で、政治家同士が互いに中傷しあっているというのだからびっくりだ。 民間レベルでの日韓交流にも支障が出ている。こんなことでワールドカップの共同開催なんて可能なのか?
 たぶん韓国政府としてはどこかで振り上げたこぶしの落としどころを考えているのだろうけれど、一度火がついた世論はそうそう簡単には落ち着かないと思う。日本の一部マスコミもさんざん韓国世論をたきつけ、教科書問題や靖国問題に「近隣諸国の反発」という外圧をかけて日本国内の世論をリードしようとしたようだが、その結果がこれだ。従軍慰安婦問題ではいくら韓国をせっついても今ひとつ盛り上がりに欠けたため、ここぞとばかりに張り切ったのだろうが、この責任を一体誰が取るんだ? まぁ僕はサッカーなんてどうなっていいんだけど、日韓の映画交流に支障が出るのはなぁ……。映画を観てもそんなことばかり考えてしまうのは、映画が面白くなかったからなんだけどね。
 2本目は松竹の試写室で今週末に公開されるアニメ映画『劇場版 幻想魔伝・最遊記/Requiem 選ばれざる者への鎮魂歌』の試写。原作もテレビ版も見ていないが、わりと楽しく見ることができた。ものすごく映像のクオリティが高いとか、物語が泣かせるとか、そういう特別な映画ではない。でも普通に面白い。この映画を観ながら僕が考えていたのは、手塚治虫が「ぼくの孫悟空」の原稿を落としかけたとき、トキワ荘の若手漫画家たちが協力して番外編的な穴埋め原稿を作ったというエピソードだった。
 本当はもう1本映画を観ようかとも思っていたのだが、少し時間が空いてしまうので面倒くさくなって帰宅。 ジャン=ピエール・ジュネの新作映画が来年のお正月映画として公開されるらしいのだが、その試写状が届いていた。『エイリアン4』以来の新作かな。すごく楽しみだ。

8月15日(水)
 午前中に日曜日に観た『千と千尋の神隠し』も含めて、感想文を3本書いてしまう。午後は映画美学校で『どんてん生活』。映画が始まった瞬間、間違えてぴあ試写室に来てしまったかと思いました。映画はひたすら貧乏くさく、ひたすらマイナー指向。配給会社の受付が少し遅れ、しかも資料がないという混乱状態だったが、映画の後で外に出たら、配給会社の人がプレス資料を持って駆けつけたところだった。事務所まで戻って資料を作り、あわててとんぼ返りしたのかな。ご苦労様でした。
 2本目はメディアボックスで牧瀬里穂主演のファンタジー映画『ターン』を観る。原作は北村薫。監督は『学校の怪談』シリーズの平山秀幸。交通事故にあったヒロインが、事故の1日前の生活を何度も何度も繰り返すという話。現実の世界に住む男性とヒロインを1本の電話が結んだことから、物語は大きく展開していく。面白かった。ワーナーマイカル系なので、例によって東京都心部の人は観にくい映画。東武練馬まででかければ「ワーナー・マイカル・シネマズ板橋」があるけどね。
 映画の後、友人と待ち合わせして銀座1丁目の「独楽」へ。お盆だから空いているかと思ったら、あっという間に店内が満員になってびっくり。人気のあるお店だということもあるけれど、最近は銀座あたりの会社もまとめて夏休みを取ったりしないらしい。まぁ僕が銀座でデザイナーをしていた時も、お盆休みなんて取らなかったけどね。

8月16日(木)
 午前中に映画の感想を書く。電話料金(ダイヤルインの契約料)の件で、NTTの担当者と電話で話し合い。この場では決着が付かず、明日以降にまた話すことになる。
 午後は試写4本をはしご。最初はUIPでレニー・ゼルウィガー主演の話題作『ブリジット・ジョーンズの日記』。この映画のために太ったレニーが女性たちの共感を呼んで大ヒットした映画だが、映画の後に彼女が減量して体型を元に戻したら、映画のヒロインに感情移入していたファンたちが大反発したらしい。 まぁしかし、女優だから体型は元に戻すでしょうとも。体型がもとに戻らないと、ケイト・ウィンスレットみたいに笑い物になってしまう。まぁケイトもその後減量したんだけど……。レニー・ゼルウィガーはこの映画のために6キロ太ったんだそうで、ほっぺたなんてパンパンです。体型はともかくとして、人相が違う。
 2本目はヘラルドに移動して『インティマシー/親密』というフランス製作のイギリス映画。バツイチの中年男が夫と子供のいる売れない女優と不倫関係になるというラブストーリーだが、主人公たちの馴れ初めなどをとっぱらって大人の恋愛関係を寓話的に描き出そうとしているようだ。今年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞している作品。欧米人はこの手の話が好きなのかも。でも日本人向けではないように思う。
 『インティマシー/親密』が2時間3分もあったので、3本目の試写までは綱渡り。大急ぎでGAGAに移動して、SF映画『クローン』を観た。これは原作がフィリップ・K・ディックの傑作短編「贋者」。主人公の一人称で書かれたこの原作を映画にしようというのが、そもそも物凄く難しいこと。映画は原作の筋をほぼ忠実になぞり、物語の最後には原作にないどんでん返しを用意している。ただし原作をいじって、かえって設定上の矛盾を生み出している部分もある。原作は短編の名手ディックの作品の中でも群を抜く傑作で、ディックのファンが彼の短編ベスト5を選べば必ずその中に入り、ベスト3を選んでもまず間違いなく選に入るだろうというパーフェクトな作品。僕も何度読み直したかわからない。それだけに映画にはまったく期待しておらず、かえって健闘しているように思えた。主人公を追う軍人を演じたヴィンセント・ドノフリオが秀逸。
 4本目は新宿のアイマックス・シアターで『パンダ・アドベンチャー』という50分の中編映画。3Dではないが、大画面に中国の雄大な大自然が映し出される様子は壮観。ただしさすがに疲れているので、素直に感動できなくなっている。アイマックス・シアターの試写は、いつも9時過ぎからなんだよな。今日は終わったのが10時過ぎ。普段の僕なら、もうそろそろ寝ようかという時間です。

8月17日(金)
 午前中はメールを整理したり、 電話で編集者と話したり、NTTの担当者と料金のことで話をしたりで、映画の感想文を書いたり仕事をしたりする時間がまったくない。昨日の疲れもあって、寝坊したのも影響大。
 午後はTCCで『チャック&バック』からスタート。幼なじみの男ふたりが10数年ぶりに再会して……という話。ちょっと切ない。食事をしてからシネカノンに今日2本目の試写を観に行ったら、5分前の到着で既に満員で入れなかった。 食事をへんな時間にとっていた自分が悪い。これは別の日に回す。時間が空いてしまったので本屋などで時間をつぶし、3本目はGAGAで『ファイナルファンタジー』。これは15分ぐらい前に試写室に到着したのだが、既に補助椅子になっていた。公開日が迫っているのに試写の回数が少ないので、どうしても試写室は混雑してしまうのだろう。たぶん『ラッシュアワー2』も大変なことになると思う。GAGAは公開作品数が多いし、最近は大型の話題作もたくさん持っているから、本当は試写室のキャパをもっと広げるとか、試写室をもうひとつ作るとかしたほうがいいように思うけど……。最近は外部の試写室を借りて試写を行うことも多いけれど、いずれそれもパンクするのではないだろうか。
 映画の後は有楽町で編集者と待ち合わせ、東京駅まで歩いて食事とビールでバカ話。11時過ぎに店を出て解散。

8月18日(土)
 今日は久しぶりに朝寝坊。といっても7時半頃には起きちゃったけど。普段は6時起きだから、これでも随分と寝坊したつもりなのだ。昨夜はたかだか大ジョッキ2杯のビールを飲んだだけなのに、なんだかお腹の具合がよくない。あれっぱかしの酒で調子が悪くなるとは、まったく最近は酒に弱くなったもんだ。昔は大ジョッキ4,5杯を平気で飲み干していたように思うけど。
 映画の感想文を書く作業が溜まりに溜まっている。木曜の分が4本。金曜の分が2本。一度7本溜めたことがあるから、それよりは少ない。でも週末は情報誌の原稿を入稿しなければならないし、別の月刊誌の入稿締切も来週月曜日になっているから、実質今日明日で原稿を書いてしまわなければならないのだ。それに加えて、WEBの仕事の締切が25日だから、それも目鼻を付けておかないと……。そんなわけで、この週末は結構忙しい。忙しいのはいいことだが、例によって感想文そのものはお金にならないのが恨めしい。
 頼みの綱は広告だったりするんだけど、今日は朝からValueClickのカウンターがうまく動かなくなっていて、朝見たらクリック数が3件、昼に見たらクリック数が3件、夕方見たらクリック数が3件、たった今(夜11時)に念のためまた調べたらやっぱりクリック数は3件のままだった。広告の表示数も止まったままなので、これはValueClick側のカウント機能そのものに問題が生じているようだ。一応ValueClickにメールを出したけれど、土日だからどうせ会社には誰もいないんだろう。月曜日以降に何らかの対応があると思う。

8月19日(日)
 午前中はCS。その後で銀座周辺で買物して回り、昼頃帰宅して今度は餃子をどっさり作る。なんだかんだでそれを食べ始めたのは夕方になってからで、満腹になったまま少し仮眠を取り、すっかり夜になってから仕事開始。
 本当は今日中に入稿しなければならない原稿だが、どうも終わるかどうかが微妙なところ。映画紹介の小さい原稿に思った以上の時間がかかってしまい、メインの大きな原稿が後回しになっている。現時点で手つかず。大丈夫かなぁ……。まぁそれはともかくとして、現実逃避に日記を付けることにする。
 コンピュータウィルスである「TROJ_SIRCAM.A」が未だにネットワークの中を飛び回っているようで、僕のところにも1日数通のウィルス添付メールが届く。サイズが馬鹿でかいので、受信し始めた瞬間に「きたきた!」とわかってしまうのだが、メール受信にえらく時間がかかり、その間はメーラーの動作がストップしてしまうのが困りもの。僕は自分のメールアドレスに届いたメールをPHSに転送しているのだが、そちらにウィルス付きのメールまで転送されてすぐにメールボックスがパンクする。このウィルスは7月下旬には存在が報告されており、各プロバイダーやワクチンプログラムのメーカーはすぐに対応に乗り出しているはず。にも関わらず今もなおネットにこのウィルスが徘徊しているのだから、なんだかすごい生命力だ。
 ところでこういうウィルス添付メールを受信した時、受信した側はどう対応するべきなんでしょうね? 僕自身は今のところ、感染したメールをそのまま削除して終わりにしているのですが、これはメールの送信者に「あなたのパソコンはウィルスに感染してますよ」と教えてあげる方が親切なんだろうか。ついでにウィルス検索・除去ツールの入手方法なども教えてあげるとなお親切かな……。皆さんどうしてるんでしょ?
 ちなみにウィルスの検索・除去ツールは以下の場所で入手できます。この日記を読んで心配になった人は、ぜひ一度ご自身のパソコンをチェックしてみてください。

http://www.trendmicro.co.jp/virusinfo/troj_sircam_a2.htm

 ちなみに上記サイトからたどれるウィルス情報のサイトを見ていたら、「TROJ_SIRCAM.A」について以下のような記述を見つけました。《あらかじめ保持しているメールサーバ等の情報を使用して送信を行うので、メールクライアントに送信記録などは残りません。送信者名も、基本的に感染者とは異なるアドレスとなります。》 要するにメール送信者とおぼしき人に「あなたのパソコンはウィルスに感染していますよ」と教えてあげたとしても、その人はメールを送った本人とは限らないのです。そんなわけで、このウィルスについては各自がそれぞれ自衛するしかないようです。

8月20日(月)
 朝は目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまう。なんと5時半。なぜこんなに早起きなのか。昨夜寝たのは早寝の僕にしては遅い1時頃だったというのに……。ひょっとしてこれは、今日の午前中に予定されているインタビューを前にして、ちょっと僕が興奮気味なのだろうか? そうではあるまい。 単に昨夜やり残した仕事があって、それをインタビューに出る前に片づけなければならないという義務感が、僕を早起きさせているのだ。そんなわけで今朝は朝食を簡単に済ませて仕事の原稿を書き上げ、メールで入稿してしまう。これが9時頃。
 問題のインタビューのために10時45分に表参道で編集者と待ち合わせ。メーカーの人も合流して、水野晴郎さんの事務所に向かう。今回は11月にSPOから発売が予定されている話題作『シベリア超特急』の取材。僕も子供時代に水曜ロードショーで育った口なので、ちょっとドキドキしてしまった。事務所に向かう道すがら、メーカーの担当者や編集者と『シベ超』がらみの話をすると、そこには自然と笑いが生まれる。事務所での取材時間は約1時間。『シベ超』にかける水野監督の意気込みやDVD化に際しての意図などを聞いて、最後は『シベ超3』の話題で締めくくる。これには取材する方も爆笑だった。もう今から観たくてしょうがない。取材のあとは駅の近くで編集者と食事しながら、仕事のことやDVD市場についての動向などについて話す。
 1時からの試写は間に合わないので、3時半から映画美学校で『ダンボールハウスガール』 を観て今日はおしまい。この映画はハイビジョンカメラ24Pというもので撮影されているそうだが、画質はフィルムとまったく遜色ない。映画自体は物語のテーマがうまくこなれていないように感じた。
 帰りに有楽町のビッグカメラに立ち寄って、カメラの売り場などをうろうろしてみる。一眼レフの売り場はがらがら。人混みがあるのはデジカメのコーナーばかり。コンパクトカメラのコーナーもちょぼちょぼ人がいる。もう普通の銀塩フィルムはダメなんですね。時代はすっかりデジタルカメラだと痛感。しかし僕が興味を引かれたのはそんなものではなく、コンパクトカメラ・コーナーの片隅に置いてあった水中カメラだった。水中10メートルぐらいまで潜れる簡単なもので、APS対応、オートフォーカス、2倍弱のズーム機能付きで3万円弱のお値段。これ欲しい。来年のお祭りの時、これなら水をぶっかけられてもそのまま撮影ができそうだ。

8月21日(火)
 午前中に昨日のインタビューを原稿にしてしまう。実際にインタビューした内容のうち、活字になるのは5分の1ぐらいだと思う。それだって余分な話をだいぶカットしている。雑誌に掲載されないところで、いろいろと面白い話もあったんですが、それは発表する場所がないまま消えてしまうのだ。インタビュー取材の宿命だなぁ……。午前中は他に、メルマガの発行手続きも済ませる。
 本当は11時からアップリンクで1本試写を観ようと思っていたのだが、その後の移動時間を考えて断念。午後はFOXで『タイガーランド』。無名俳優ばかりが出演した新兵訓練ものだが、ドキュメンタリータッチの映像は迫力があるし、個々のキャラクターもなかなかいい。久しぶりに骨っぽい青春ドラマだった。2本目は映画美学校第2試写室で『プラットホーム』という中国映画。これはちょっと、よくわからなかったなぁ。難しい映画ではないけれど、結局何が言いたいのかわからなくて退屈してしまった。2時間半もある映画なんだけどね。
 今日はこの2本で試写を上がって帰宅。途中で買物。台風が近づいているせいかエレベーターホールには「バルコニーの植木を室内に入れるように」という張り紙がしてあるが、うちはとても室内に入れる余裕などないから、風がひどくなったらたぶんベランダの花やハーブは全滅するだろう。全滅は避けたいので、バジルを一鉢だけ室内に入れておいた。
 夜は東京国際映画祭のプレスパス申請書を書く。昨年までは「TOKYO1週間」のライターで申し込んでいたのだが、今年は「映画瓦版」で申し込んでみる。事務局はWEB媒体なんてまるで相手にしていないという話なので、これで申請が通ればめっけもん。申請が却下されたら、その時はその時でいいじゃないかと思わせてしまう、東京国際映画祭ってなんなのかなぁ……。フランス映画祭のプレス申し込みはいつもワクワクするのに、東京国際はそうしたワクワクドキドキがない。申し込み時点で、出品作品がまったく決まっていないということもあるし、例年この映画祭ではがっかりさせられることの方が多いからかな。

8月22日(水)
 台風が関東地方に急接近するかと思われて、足踏み状態が続く。最接近は夕方になるとの報道。午前中は『タイガーランド』の感想を書いただけで終わる。『プラットホーム』はどう書いていいのか思案中。 雨足が強くなったので、今日は外出を控えて1日部屋の中で過ごそうとも考えたのだが、小降りになってきたのであえて外出。天気の様子を見ながら、いつでも帰ってこようと思ったのだが……。
 午後の1本目は『怪獣大決戦ヤンガリー』という韓国の怪獣映画。映画としてはつまらないけれど、不思議な懐かしさを感じさせる。特に終盤はウルトラシリーズで育った僕の目から見ると、ひどく懐かしい風景。試写の後、知り合いの宣伝担当者とこの映画や最近のアジア映画全般について雑談。
 2本目はブエナビスタで『コレリ大尉のマンドリン』。話はよくできている。内容はギリシャを舞台にした『ムルデカ17805』なんだけど、それをうまい具合にメロドラマに仕上げている。『ムルデカ』の製作者たちはこれをよく研究して、自分たちがどこでどう失敗したのかを考えるべきだろう。
 簡単に食事してから3本目は徳間ホールで『アメリ』。ジャン=ピエール・ジュネの新作で、これはすごくよかった。今年のベスト10の中に入れたいような、チャーミングな傑作ファンタジー。『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』『エイリアン4』で濃厚だったグロテスクな造形は後退して、砂糖細工のように甘くて繊細な物語世界を作り上げている。
 今日は当然大雨と大風だろうと覚悟して外出したのに、夕方には空に晴れ間も見えて、なんだかずいぶんと期待はずれ。いや、この場合は拍子抜けと言うのか……。

8月23日(木)
 なんだか体調があまりよくなくて、午前中は眠くて頭がぼんやり。映画の感想を書こうにも、まったくはかどらない。仕方ないので午後の試写は1本はずして昼寝。
 午後は3時半スタート。映画美学校でジョージ・A・ロメロの新作『URAMI/怨み』を観る。ジェイソン・フレミング主演のホラー・ファンタジーで、恐さはあまりない。寓意性を持った大人のおとぎ話みたいな映画です。僕は嫌いじゃない。
 今日はこの1本で試写は終わり。7時から日本橋のフランス料理屋で映画関係ライターの交流会があったので、それに参加した。主催は試写室に頻繁に通っている人なら誰でも知っている“紙袋の男”ことW氏。集まったのはやはり試写室でよく顔を見かける人たちばかりだが、今まで挨拶もしたことがないような人たちと名刺を交換したり映画の話をしたりするのは面白かった。途中で名刺を使い切ってしまったけどね。インターネットをやっている人はほとんど「映画瓦版」もご存じのようでしたが……。
 ライター同士というのは直接一緒に仕事をすることがないので、横のつながりというのがじつはあまりない。だからこういう機会を作ってくれたW氏には感謝。

8月24日(金)
 午前中にたまり気味だった映画の感想を全部かたづける。といっても2本だけどね。午後は映画美学校で『short6』という短篇映画特集。すごく面白いものもあり、あまり僕の肌に合わないものもある。でもこういう形で短篇映画の上映機会が増えるのは有り難い。例年のフランス映画祭横浜でも、一番刺激的なのは短篇特集だったりするしね。
 2本目はソニーで『恋は負けない』というラブコメディ。田舎町出身の大学生が同級生たちの陰湿なイジメに遭うが、それをはねのけて本当の恋に巡り会うといったお話。『アメリカン・ビューティー』のミーナ・スヴァーリが実際にすごく年上の男と結婚しているというプライベートな事柄を、映画の中で彼女がグレッグ・キニアと付き合っているという設定と重ね合わせているのだろう。このあたりはうまい。でも映画序盤でジェイソン・ビッグス演じる主人公が徹底的にイジメられるところは、不愉快すぎて笑えない。ダン・エイクロイドがちらりと顔を出しているが、う〜む貫禄あるなぁ。
 本当はもう1本映画を観ようかと思ったのだが、天気がなんとなく怪しげになっていたので一度帰宅。帰宅すればもう一度部屋を出るのがおっくうになるのが常で、この日も最後の試写はさぼってしまった。
 来週の土曜日にオフの企画を立てたのだが、思ったほど参加希望者がいなくてちょっとがっかり。9月1日、夜7時から銀座。 参加希望者はメールで服部まで。以上。

8月25日(土)
 映画の感想を書いてしまう。今週は原稿の入稿が1本お休みなので仕事は楽なのだが、これはその分収入が減るということも意味している。
 夕方から近所の町内会で納涼会。路上に屋台が出て、焼き鳥、焼きそば、おでんなどが全部50円。生ビールが100円。

8月26日(日)
 朝はCS。その後新橋の上州屋に行って、安い釣り竿とリールのセットとハゼ用の仕掛けを購入。近い内にすぐ近くの隅田川で、ハゼ釣りにチャレンジするつもり。釣果は期待できないが、手軽なレジャーとしてはすごく安上がりなものだ。夏の間からずっと頭にあったのだが、さすがに真夏の暑い内は釣りどころではないので、涼しくなってきた今からがシーズンかな。
 午後は仕事で取り寄せたサンプルビデオを見る。DVD発売に合わせてメーカーからビデオを取り寄せたのだが、 これって昔出ていた国内版ビデオからのダビングで、今回DVDになる本編とは別物らしい。資料に載っている長さは2時間ちょっとなのに、サンプルビデオは1時間15分ぐらいで終わってしまう。これでサンプルと呼べるのかはすごく疑問。夜は別の仕事の原稿を1本仕上げて入稿する予定。
 土日はいつもホームページへのアクセスが少なくなり、それにあわせて広告のクリック率も低くなるものだが、なぜかこの週末は広告のクリック率がいつもより多いように感じる。どの広告が読者の興味を引いているのか、さっぱり理解できない。最近は広告のクリック率に一喜一憂してもしょうがないと割り切ってはいるが、それでもクリック率が低い時は考え込んでしまうし……。う〜む。ValueClickがクライアント別に広告クリック率を集計してくれるといいんだけどな。たぶん広告主向けにそうしたデータも集計しているのだろうけれど、それを広告掲載側には発表しないんだろうなぁ……。

8月27日(月)
 今日の日記は長いぞ。理由は読めばわかる。
 午前中にメルマガの編集作業。同時に以前から企画だけを考えていた新しいホームページの表紙だけを作ってしまう。映画と全然関係ないので、商売にはまったくならない。趣味みたいなものだ。ただしこのページは、まだ目次があるだけで中身が存在しない。これから少しずつ中身も作って、いずれどこかのサーバーにアップするつもり。その時は自分の名前をまったく出さず、匿名のページにしようと思っている。デザインも映画瓦版や新佃島映画ジャーナルとはまったく異なるので、たぶんページだけを見ても誰が作ったかわからないと思う。でもデザインの趣味は僕のものなので、察しがいい人はわかるかも。いずれにせよ、今年中にアップするかしないかというレベルの話だ。先は長い。じつはもうひとつ、映画関係のホームページを立ち上げようと思っているのだが、それはまったく手つかず。以前友人に話したらバカウケの企画だったんだけど、もうタイミングが遅すぎるかな。
 午後は東宝で『陰陽師』『冷静と情熱のあいだ』を続けて観る。どちらも面白かった。『陰陽師』はジャパニーズ・オカルト・アクションで、このまま字幕を付ければ海外にも持って行けそう。平安王朝絵巻と超能力合戦というミスマッチが面白い。主演の野村萬斎は周囲から浮きまくっているが、そもそも主人公の安倍晴明という人物が周囲から浮いているアウトサイダーだからこれでちょうどいいのだ。『冷静と情熱のあいだ』は不意打ちの傑作。主演の竹野内豊とケリー・チャンの存在感、撮影の確かさ、そして演出のうまさで、観る者をぐいぐい惹き付けて最後まで離さない。ラストは涙目モードに突入してしまう。
 試写の後で東宝のパブリシティ室長と「映画瓦版」の運営方針について話をする。 「映画宣伝」のために試写を行っている映画会社の立場としては、試写を観たうえで作品を「批判」されるのは困るというのが先方の言い分。だから映画瓦版についても、作品をほめる記事は歓迎するが、批判的な記事は宣伝に何のプラスにもならないので書かないでほしいとのこと。確かにこれは宣伝をしている側からの、きわめてまっとうな意見だと思う。その上で先方は、映画瓦版が作品紹介に徹するか、映画についてネガティブな意見を書かないと約束できるのなら、今後は試写状を出しても構わないとまで言ってくれた。これは僕のように何の後ろ盾も持たないライターに対しては、きわめて寛大な申し出だと思う。しかし僕は30分ぐらい悩んだ末に、今回はこの申し出を辞退することにした。「観た映画についてはすべて感想を書く」「いい映画はいいと書き、駄目な映画は駄目だと正直に書く」というのが映画瓦版の大原則なので、たとえ仕事の間口を狭めることになろうと、その運営方針は曲げられないからだ。
 これによって、今後は雑誌で東宝配給作品の紹介がしにくくなることは明らかだ。しかしそれは僕から編集者に「東宝のこの映画が面白いから記事にしましょうよ!」と提案することができなくなるということであって、 編集者が「東宝の○○について書いてください」と言ってくれば、それについては編集者に試写の手配をしてもらうから困らないんだけどね。夏休み映画や正月映画のようなものはどこかで特集記事を書くことになるだろうから、今後も試写が観られるわけです。だから『ゴジラ』も『ハム太郎』も観られるというわけ。観られなくなるのは春休みの『ドラえもん』『コナン』『クレしん』あたりか……。まぁこういうものは、映画館で観ればいいんだけどね。だから「映画瓦版」としてはあまり不便を感じていないけど、それでもなぁ。
 映画の長所をほめ、欠点があればそれを指摘するのが「映画批評の原点」だと僕は思っている。だが映画宣伝をする側は「映画の長所をほめ、欠点には沈黙してほしい」と考える。これは宣伝という立場から考えれば当然の話だし、新作映画紹介なら確かにそれでもいいだろう。しかし欠点について沈黙していては、公正な映画批評などできないではないか? 東宝のパブリシティ室長は宣伝という立場から、「試写室に来た人には映画批評は書いてほしくない」と言い切った。これは映画を宣伝する立場の意見としてはすごく正しい。では一般の映画ファンは、「公正な映画評」を求めていないんだろうか? まぁそんなことをいろいろ考えながら、今日は東宝をあとにしたのだ……。
 新作映画紹介は試写を観ないと難しい。でも映画批評は試写を観なくてもできる。 劇場で映画を観てそれについて批評するぶんには、映画会社は何も文句を言えない。問題は映画について何か書いて生活しようとすると、「新作映画紹介」をしないとほとんど収入が得られないことだ。生活のためには、試写を観なければならなくなる。僕自身は「映画批評」がやりたいので、そのために試写室から閉め出されてもある程度はそれを甘受しなければならないと考えている。だがそのためには、雑誌に「新作映画評」を書く以外の収入源が必要になってくる。知り合いの編集者に新しい切り口の「映画批評」の企画を提案したりもしているが、反応はかんばしくない。それよりは映画瓦版から、何らかの収入を得られる方法を考えた方がいいのかもしれない。まずは読者数を増やして、広告クリック数を増やしていくことか……。遠い道のりだなぁ。
 一銭も利益にならない映画瓦版が原因で仕事の間口を狭めるようなことをするのは馬鹿馬鹿しいが、逆に映画瓦版を見て仕事をくれる人もいる。でも最近は新規の仕事がほとんどないから、仕事の間口が狭まりっぱなしだ。僕は読者の支援と、理解のある編集者のおかげでなんとか今は「映画批評家」の看板をおろさずに生きてますが、今後はどうなることやら。今年は「映画批評家」としての僕の正念場なのだ。
 本当は6時半から『ラッシュアワー2』の完成披露試写を観るはずだったのだが、東宝を出たのが6時45分頃だったのでそのまま帰ってきてしまった。『ラッシュアワー2』は記事を書く予定があるので、明日にでも配給会社に試写の予定を問い合せなければならない。 午後にひどい土砂降りがあったようだが、僕が帰ってきた時にはもうやんでいた。自転車移動だったので、ちょっと焦ったけどね。

8月28日(火)
 今日の日記も長い。内容は昨日の続き。
 東宝との件について日記に書いたことで少なからず反響があったのだが、この件は映画の広報や宣伝という立場と、僕がやろうとしている批評という立場が必ずしも一致しないというだけの話。東宝の担当者は映画瓦版が他の映画マスコミと同じ“業界のルール”の中で映画評を掲載するなら、それに対しては試写状を出してもいいと言ってくれたわけで、これは個人運営の映画関連ホームページに対してはきわめて寛大かつ異例の申し出だったと思う。ある意味では、映画瓦版が他の雑誌メディアなどと同列で評価される対象になってきたということであって、むしろとても光栄に思っているのだ。
  「映画について悪口は書かない」という立場から個人でホームページを運営している人も多いし、「好きな映画についてはたくさんの人に知ってもらいたいけど、嫌いな映画を観てしまった時は一刻も早く忘れることにしている」という映画ファンもいる。僕もそういう穏健な立場でページを運営していれば、今回のような意見の食い違いが生まれることはなかったんだと思う。少なくとも僕は東宝が考える「よい映画ファン」には当てはまらないのだ。
 ちなみに東宝はインターネット媒体には商用・非商用の区別なく原則として試写状を送付していないそうで、僕に試写状を送る云々という話は、あくまでも僕が他の雑誌媒体にも執筆場所を持っているから出た話だと思う。 また映画瓦版は1日のアクセス数がトップページだけで4000件以上、1ヶ月通算で12万件以上のアクセスがある(総ページビューはこれの6〜8倍)。これが雑誌にすると何万部ぐらいの販売実績に相当するのかはわからないが、映画宣伝の立場からも無視できない数字になってきたのは確かなんだろう。僕は最初にホームページを立ち上げた頃と同じ気分で運営しているのだが、そろそろ映画瓦版については運営方針をより明確なものにしていかなければならないのかもしれない。
 評価記事(評論や批評)の理想は、一般の消費者と同じ立場で商品やサービスを吟味し、その結果を発表することだろう。ミシュランの「ホテル・レストラン・ガイド」や「暮らしの手帖」の商品テストが一種の理想だろうと思う。問題はインターネット上で発信されている情報は無料だということ。映画瓦版にも大手タイヤメーカーのようなスポンサーが付くか、読者のひとりひとりから購読料が徴収できれば、ミシュランの「レストラン・ガイド」や「暮らしの手帖」のようなことができるだろうけどね。これは今後の課題だ。
 で、日記に戻る。午前中は昨日観た『陰陽師』と『冷静と情熱のあいだ』の感想を書く。どちらも映画の魅力の半分も書き切れていないので、雑誌等から依頼があればもう少し細かな映画評を書くかもしれない。『陰陽師』はシリーズ化してほしいぐらい。1作目はややハードだけれど、次回からは晴明と博雅の凸凹コンビぶりを前面に出して、少しユーモアを交えた作品にしていくこともできると思う。あるいは2時間枠ぐらいのスペシャルドラマとして、年に1,2回テレビ放送するというスタイルでもいいかも。日本版の「X-ファイル」みたいになって、なかなか面白いと思うんだけどね。 原作はたくさんあるんだから、まだまだやれることは多いと思う。
 午後は映画美学校で『みすゞ』の試写。試写室が狭かったこともあるが、やたらと混んでいて立ち見までいた。幻の童謡詩人・金子みすゞの生涯を、『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠監督が映画化したもの。『地雷〜』にはあまり感心しなかった僕だが、今回の映画は面白いと思った。少しわかりにくいところがあるのが難点だが、映画全体を包み込む透明感と温かさがそうした欠点を上回る。映画を観ている内に、このわかりにくさも監督のねらいなのだと思うようになった。
 2本目は松竹で『ホセ・リサール』というフィリピン映画。監督は昨年の東京国際映画祭で『ムロ・アミ』が上映された、マリルー・ディアス=アバヤという女性監督。フィリピン革命の精神的指導者として、今でもフィリピンの人々から神のように崇拝される作家ホセ・リサールの生涯を描いている。 この映画は英雄視を通り越して神格化されているホセ・リサールの人間像を、彼の視点から等身大で描こうとしている。この人物を主人公に、歴史メロドラマを作ることも大活劇に仕立てることも可能だったろうが(例えばアイルランド独立の立て役者を描いた『マイケル・コリンズ』のように)、映画はあえてサスペンスやアクションの要素を排除している。
 帰宅した後、昨日の晩録画したドラマ「明るいほうへ明るいほうへ・童謡詩人金子みすゞ」を見る。松たか子主演で映画『みすゞ』と同じ人物を描いているが、その解釈方法はまるで違っている。ところどころに映画とドラマで同じエピソードがあるが、その描き方がまるきり違っているのも興味深い。西條八十とほんの一瞬出会う場面も、映画とドラマじゃ印象がずいぶん違う。みすゞの夫の人物像や、叔父・松蔵の描き方も映画とドラマで正反対。話としてはドラマ版の方がわかりやすいが、作品としての完成度は映画『みすゞ』の方が一枚も二枚も上手だと思う。どちらがみすゞの実像に近いかはさておき、作品としては映画の方が断然いい。

8月29日(水)
 東宝からの試写状提供を断った件については、映画瓦版読者からおおむね好意的な反応が得られた。一部に「東宝はせこい」という意見もあるけれど、これはそういう問題ではなく、むしろ東宝側は精一杯誠実な対応をしてくれたと僕自身は理解している。試写状の提供を断ったのはあくまでも僕の判断であって、東宝は無関係。そのへんを誤解している人がいるようなので念のため。
 「新作映画紹介」という仕事は映画ライターにとって米びつ。試写状を断る(試写に行くのを遠慮する)というのは、米びつのふたを自ら閉ざしてしまうに等しい。「新作映画紹介」に代わる米びつを、どこに確保するかというのが今後の課題ではある。映画瓦版の有料コンテンツ化は、現在のインターネット事情を考えればまったくナンセンス。フリーソフトの作者のように読者からドネーションを募るというのもひとつの方法かもしれないけれど、どの程度の反応があるものか……。僕自身はフリーソフトの作者にドネーションを送ったことがないから、自分がしていないことを他人に期待しても無駄かもしれないな。でも何もしないよりは、何らかの期待を込めて銀行口座をオープンしてもいいかもしれない。これは近日中にインターネット対応の口座をオープンすることにしよう。休眠中の口座をネット対応にすればいい。
 午後はソニーで『エボリューション』。エイリアン版『ゴースト・バスターズ』とも言うべきアイバン・ライトマン作品。宇宙人バスターズとなった4人組の個性がうまく噛み合わず、ドタバタがこぢんまりとまとまってしまったのは少し残念。それぞれ面白いキャラなのに、なにか互いに遠慮しあっているような感じ。でも元祖『ゴースト・バスターズ』のダン・エイクロイドがゲスト出演しているのは嬉しい。
 2本目は同じソニーで『マイアミ・ガイズ/俺たちはギャングだ』。リチャード・ドレイファス、バート・レイノルズ、シーモア・カッセル、ダン・ヘダヤ主演の、ギャング版『スペース・カウボーイ』。かつて一花咲かせた男たちが、若造相手に大暴れする。 敵役が麻薬組織を牛耳るコロンビアマフィアで、主人公たちは昔ながらのギャングスター。これって一種のナショナリズムなんじゃないかな。
 スーパーに立ち寄ってから帰宅。夜は切り干し大根を煮る。

8月30日(木)
 午前中は映画の感想を書く。午後は東映でモンキー・パンチ原作・監修のアニメ映画『シャム猫』を観たが、なんだかこれはもう、どうでもいいやって感じ。ひどく疲れているのでこの日の試写はこれでおしまいにして早上がり。
 帰り道にふと思いついて釣具屋に寄り、釣り餌を買って、部屋に戻って釣り竿とバケツを持って、近くの川っぺりに出かける。 小学校か中学校の頃、近くの川でフナを釣っていたことがあるが、それ以来の釣り。リールを使っての釣りは初めてだったので、しばらくは様子がよくわからなくて困ってしまった。しかし慣れてくると、ちょぼちょぼ魚が釣れ始める。狙っているのはハゼなのだが、他の魚も何匹か釣れた。結局暗くなるまで釣りをしていて、釣れたのはハゼが3匹、それ以外の魚が3匹。しかし一番釣れたのはカニだったりする。今日は魚を持ち帰らず、全部川に逃がしてしまった。帰宅してから石鹸で手を洗ったが、何度洗っても指先が魚くさい。なんとなく懐かしいにおいではあるが、やっぱり魚くさい!
 映画瓦版の今後について、ちょっと突飛な考えが浮かんだ。うまくすれば面白いことになるかもしれない。今週中に少し細部まで考えてみるつもり。

8月31日(金)
 午前中に映画の感想を書く。午後は徳間ホールで『ラッシュアワー2』。連絡が行き渡らないのか、公開まで日がないせいなのか、人があまりいなかったんですが……。この追加試写は僕のところにも試写状が来ていないくらいだから(僕は電話で問い合せてFAXをもらった)、ひょっとしたら試写があることを知らない人が多かったのかも。映画はまずまずのでき。前作以上ではないが、大きく期待は裏切らないし、チャン・ツィイーの可愛い顔や、ジョン・ローンの懐かしい顔が見られるだけでもよいのです。ハリウッドで活躍する俳優たちが何人も、ワンポイントのゲスト出演をしているのが面白い。ルーシー・リューがどこかに出ているという話なのだが、僕にはよくわからなかった。一番目立ったのは何といってもドン・チードルだが、彼はノンクレジットだそうだ。
 試写室でW氏に会って、京橋まで歩きながら東宝の件については話をしていた。彼はこの日記の熱心な読者で、いろいろと心配をして力になってくれるという。有り難いことだ。今回の件についてはいろいろな方からメールをもらったりもしたが、こういう目に見えない善意や好意によって、映画瓦版が支えられているのだなぁ……。  京橋の交差点でW氏と別れ、僕はメディアボックスで奥田瑛二の初監督作『少女〜an adolescent』を観る。2時間12分という長尺だが、あまり時間は気にならなかった。奥田瑛二が自作自演で、例によってダメな中年男を好演。相手役の小沢まゆがとてもいい。ふわふわと頼りなげに見えるが、しっかりと味のあるおぼろ豆腐みたいな印象の映画。このふうわりとした舌触りのなめらかさが、なんとも優しい印象を残すのだ。話はかなりハード。これを望月六郎が演出すればもっと泣ける映画になっただろう。でもこの柔らかな後味はなくなったかもしれない。  



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